第14話

「では、ワタクシめからお話させていただきますとね、単刀直入に言えば死んでほしいのですよ。あれに」


「…あれ?」


「まぁ、あれは、非常に厄介ですからね。放っておくと面倒でしょう?」


「…はぁ、そうですね。では、やってしまいますか?」


「…そう簡単に倒せる者でもないのだけれどねぇ…」


「…熾天使セラフィムか…」


帝国から上空を見渡せば、そこには熾天使の群れがあった。



「では、襲撃を開始する」


「おう」


俺は、所定の位置に付き、女神に奇襲する。


とは言えーー


「もうバレてるだろうがな」


バレているのに、何故女神を倒さねばならないのか。


理由としては、まずここで倒さなければ更に大きな驚異となって来るであろうことが予想される。


そして、単純に。


「女神がめんどい」


世界の構造的な話になるが、この世界の根幹を支えるのは神族である。


その神族の中で御三家…のようなものがあって、まぁ三柱と言えばいいのだろうか。


まず、創造神、の柱。


そして、破壊神、の柱。


最後に、女神、の柱。


の、以上なのだが、そのうちの女神の中で、さらに言えば、治癒の神は厄介すぎる。


面倒なのだ。


単純に相性が悪いので、敵に回したくない。


もし回すなら、敵数の少ない今が良い。


という、理由も一応ある。


「さて、どうなるかな」


女神たちのいる、王城の前で待つ。

…ん。


なんだ、この感覚は。



時間の延長感覚?


「…あ、れは?」


王城から人が出てくる。


それは、男女何人かであった。


いや、四人か。


ふむ、どうやら四人組のようだが。


あれらは一体…?



四人組を組んで外に出ていいということになった。


とりあえずは、上から順に。


SSランクの伊藤徹から、Sランクの橋口まで。


忍浅葱と佐々木真也。


の、計四人組であった。


まず、女神からの試練(?)ということで、送り出されたのがその四人組だ。


まず、冒険者登録をしろ、というもの。


というのも、冒険者なる職業があるらしい、のでそれに入れとのこと。


ま、典型的なやつか。


Sランク組が全員出ていく。


そして、時間をたてて、Aランク組、Bランク組と送り出される。


登録したら戻って来いってことだったんだけどな。


ま、俺宮田と七条和也、それから田中、そして。


「…はぁ、何故私が…」


天野朱雀。


唯一一人のAランク。


ま、ランクが何を表すかはそこまで詳しく分からないが、女神いわく一つのランクでもかなりの差がある。


そして追加で聞かされたのはランクはこの世界では力の基本指針となることがおおいということだ。


「…なぜか俺らと一緒なのな」


「…」


無言。


「ま、まぁよろしく」




気まずいなぁ。


「…てかさー」


和也が話し始める。


「俺らってこの世界で外出るの初めてじゃね?」


「たしかになー」


「…」


昨日はロクに眠れなかったがな。


王城は広いからいいんだけど。


「では、行くぞ」


そして、俺達は歩いて城の外へと出る。


明るい陽の光が現れた。


「うぉ」


そこには、美しい街並みがあった。


「ざ、異世界だなぁ」


「…確かにこいつぁ、世界のどこでも見られない光景かもしれないなぁ」


「…すごい」


兎にも角にもこれは恐らく地球じゃ見られない光景だな。


「…んー?」


歩いていく。

歩いていく。


そして冒険者登録できる、冒険者会場みたいなのに行くのだが。


「道覚えている人〜…はいない、のか?」


「…はぁ、アンタたちって…ホントに使えない…」


「な、朱雀お前…」


「まーまー」

 

「いいわよ、私覚えてるから」


「…」


街を過ぎていく。


料理屋であろうところや、何らかの店を通過していく。


「…何か変じゃね?」


「ん?」


そこで異変に気づく。



「なんか、…人がいない?」


「…たしかに?」


そうだ。

なんか、違和感があると思ったら。何かこれ。

人がいない。



「…誰もいないのかしら?」


「みたいだが」


和也が勝手に近くの家に入る。


「ん?施錠してないのか」


「おい和也…」


「…ま、みんなも来いよ。この家…」


「?」


家の中へ入る。若干の罪悪感はあるが、ま、ええやろ。


「ちょ、宮田、田中」


俺に続き田中も来たようだ。


「この家…」


ものが全然ないぞ。

てか、何もない。


そう、なんかこれはまるで。


「引っ越し?にしては…タンスとか置いてあるしな」


まるで、何かから慌てて避難したような感じだ。


「他の家にも行ってみようぜ」


外に出る。


朱雀が待っていた。


「…常識知らず」


「常識に縛られないのも、またこれ一興あり、ってな」


そうして、俺達は家を物色しつつ、冒険者会場へと足を進めた。


そう。誰にも会わずに。

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