第11話


「…ふむ、あなたはBランクと言う所かしら」


…な。


「び、Bランクって、そんな…」


「はい、これとこれ」


強引に二つの荷物を渡される。


何が入っているのやら。


とにかく、まぁ俺は普通だった訳だが。


ランク毎に人を分けて与えるものを変えるなんて。日本じゃ考えられないが。

 

まぁ異世界なら普通なのかもしれない。


ランク毎に人を分けると──


Cランク


伊藤緑いとうみどり

加藤亜紀かとうあき

清水亮太しみずりょうた

緑谷紳助みどりやしんすけ

戸部真奈とべまな


くらいか。



次いでBランク。一番多い。


まぁ、俺達の学校は、田舎だったので、定数が非常に少なく、一クラスにだいたい二十人しかいないのだが。


Bランク



安藤棘男あんどうとげお

峰連ホウレン

飯島正義いいじままさよし

柘植あかりつげあかり

高橋あゆみたかはしあゆみ

宮田慎吾みやたしんご

七条和也しちじょうかずや

田中慎介たなかしんすけ



次。


Aランク。


なんと一人。


天野朱雀あまのすざく


女子生徒。


印象は、ほぼないが。


うーん。


なぜ一人だけ?という疑問はあるがまぁ、良いか。


次。


Sランク。


輝翔哉かがやきしょうや


最上圭一もがみけいいち


橋口京子はしぐちきょうこ


忍浅葱しのびあさぎ


佐々木真也ささきしんや


そして。


ラスト。


SSランク。


伊藤徹いとうとおる



ま、ランクをどういう基準でつけたかは知らないが、おそらく才能的なやつだろう。


今の実力が違うとは流石に思えないが。


「…このランク付けですが、既に今現在、ランクCとSでは天と地の差があります」


女神は、俺の心を見透かしたようにそう言った。


「…」


というか、今唐突に疑問に思ったことがある。



何故、言語が通じるのだろうか。


普通、通じなくないか?


「すみません、女神様、何故俺達は普通に会話が通じるのでしょうか?」


「…あぁ、それは私だけです」


「…え?」


「まず、わたくしはあなた方を召喚しました。あなた方はおそらく召喚のルールを分かっていないと思うので、説明しますが、そもそも召喚された者は召喚した者に本来なら・・・・完全従属しなければなりません。しかし、今回は例外それがありません。しかし、あと一つの方は適応されたようですが」


「あと一つの方?」


「ええ。えー、召喚のルールでですね、召喚した者と召喚された者は会話が通じるようになるのですよ」


気だるそうに女神は言う。


「なので、恐らく国外で話が通じる者はいません。頑張って言語を学んでください」


ーーー。


静寂。


なんだ、その絶望の追加情報は。


「質問は以上ですか?ならば、ここからはわたくしが話させてもらいますが…まず、あなたたちのこれからについてーー」


女神が、Cランクの方を向いて、ニィ、と微笑んだ。



「くっ、失敗か…」


俺は…クソ。あぁ、面倒くさいな。

どこに飛ばされた?神殿…?


「犯罪者四人組は?」


「えっへへ、呼びました?ブラッド様…」


「はぁ」


いつ逃げ出すかわからんからな。


「しかし、面倒なことになったのは、事実であろう?」


最高位騎士のデレウスがそう言う。


「あぁ。異界召喚がかなってしまった。由々しき事態…っていうかうん。まぁ、面倒くさいことになった」


「ふーん。で、どーすんの?」


ぐ。

反耳長族ダークエルフの「」アルペの言葉が重い。


「どうする、か。とりあえず今から攻め込んでも恐らく返り討ちにあうだけだからな」


女神と熾天使それぞれ単騎ならば可能性はあったが…


「?というか上位天使アークエンジェルは来なかったのか?」


犯罪者四人組に聞く。


「いや、来ませんでしたぜぇ」


熾天使王セラフィムキングが魔力を使いすぎたんでしょ」


俺より少し背が低いくらいのアルペは、俺を見上げる形でそう言う。


「魔力の残滓から、どんな魔法が使われたかくらいなんとなく解るだろ?」


「えぇ、神話には聞いたことがあったけど、まさか実在するとはね」


「なんだ?」


「恐らく、Lv11魔法、時間停止タイムストップ。」


「…時間、停止?」


「えぇ、あと、あの王宮を囲っている光の柱のバリア。あれは、光柱の天盤ライトバリアー。これは、Lv10魔法」


人類の魔法限界値はLv7までと言われている。


ほか種族を含めていくと、魔法に長ける耳長族エルフがだいたいLv9、反耳長族ダークエルフだとちょうどLv10くらいか。


これが、何故か、こと天使族、悪魔族、神族だけはLvに限界が無い・・・・・・・・


「とにかく、どうすんの?」


「また、立て直して攻め入るしかない。が、次は向こうも待ち構えているからな。正面切って挑めるくらいの戦力を整えないといけない…」


「ふーん、じゃあそれまでは、何が召喚されたかくらい拝みますかねェ?」


「…超強い猛獣とかだったりして…」


「可能性もなくはない。かの、龍王ドラゴンキングでも、生物最強、液状生物スライムには大苦戦したらしいからな。国が二つ滅んだとかなんとか」


「たしかに私も液状生物スライムにだけは会いたくないわね。あれは獄門と同じだわ…」

 

アルペがおぞましいという顔をする。


「まぁ、一旦戦力の補給の為に紅炎帝国に行こうと思うのだが」


「いいんじゃないか?」


デレウスが言うがーー


「少なくとも、何を召喚したか見てからにしない?もしかしたら女神がやられているかも」


「まぁ、特殊な事例だからありえるか」


「それに、帝国に行くということはこの国を一旦でも捨てるという事よ?」

 

一応は俺の生まれ育った故郷。


とはいえ。


「ふん。ここに大した思い出はない」


「あっそ!」


アルペは少し逆上して、どこかに行く。


「…」 


そーいや。


アルペと、であったのは、いつだっただろうか。

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