第8話
バァァァン!
と、轟音を立てて女神ヒーラは地面に着地した。
王都ラディアの王宮の前へと。
「さて、いきますか」
女神ヒーラがそういうと、見えない世界から急に熾天使王、セラフィムキングが現れる。
ジキジキジキ…と、電気のようなものを纏いながら。
「透明化を解除してよかったのか?」
「ええ。どうやら人がいないようなのでね」
女神ヒーラは優雅に歩き出す。
「…ふむ」
一歩踏み出すたと、その大地は神聖なオーラに包まれる。
こと治癒に関しては叶うものなしではないだろうか。
「…」
そうして、それに続くように
彼が足を踏み出すたびに、そこは焦げたようにやけてしまう。
なので、普段は飛行して移動している。
背中にある四つの羽を使い、ふわりと舞う。
「……」
そこから、王の謁見の間まで行くのは容易かった。
「…全くな。王であるこの俺が王の間にいくなど…滑稽な話ではないか」
「そうかしらね?…まぁそうかもしれないわ…とはいえ、あと少しなのだから…多少は我慢しなさい」
「はぁ…まぁ、種族のランクとしては神族の方が高いのだがな。俺は自分より弱いやつの命令を聞くのは嫌いなんだ」
「…あ?」
すると、そこに力場が発生したように、周りのものが崩れだした。
「…という冗談だ」
「…」
スッ、と周囲への破壊は止む。
「…」
王宮内の廊下を歩いていて不思議に思う。
「こんなに人がいないものなのか?」
「…さぁ?私は人族のことあんま良くわからないからね…」
「そうか」
そうして、話し合っている中で、二人は謁見の間へとたどり着いた。
「ここか」
「…えぇ…!サリヴァ…いるわね?」
すると、王の椅子の後ろから人影が現れる。
「えぇ、
サリヴァが現れた。
「ふん、
「…?」
女神が何かを使用する。
それは、神族限定の術。
その効力は、その特定の物、人、生き物に対して、あらゆることを見抜く…というもの。
「…本物みたいね。」
「わたしが裏切るはずありません!」
「えぇ、わかっています。ですが、一応…ね?」
「…?ところで
「あぁ、彼は今、
「…はぁ?」
「で、用意は出来ているわね。」
「ええ、もちろん」
…用意されたもの。
それは、
「生贄、五十人!!」
奴隷ではあるが、生贄約五十人。
「よくやりました。では、もうさっさと始めてしまいましょう」
女神が禁止極限術の儀式を開始しだす。
その血をどこからか、取り出したグラスへと注ぐ。
そして、またどこかから取り出した葉っぱのようなものを握り、そこから出た、
そして、また女神ヒーラは次から次へと。
取り出しては注ぐ。
そして、時が進み…
「では、最終工程を執り行います」
パシンと両の掌を合わせて、女神ヒーラは詠唱を開始する。
この詠唱こそが、禁止極限術の最終工程。
その時、五十人の命が必要なのだ。
「……?」
その時。
バンバンバンバン!!
と、鉄砲が撃たれたような音がした。
「攻め入れぇぇえええええェェエエ!!!!!!」
それは、人間の声。
そして、王の謁見の間へと侵略しーーー
「…
「了解」
ーー。
その時。
光の矢のような、いや、光の塔のようなものが王の謁見の間を覆うように展開された。
パァァと強い光を放つそれは、日中であるにもかかわらず、一際輝いていた。
「…さて、防御完了だ」
「ふふふ…ふ」
女神ヒーラは、いや、
その顔を歪めて。
「馬鹿な人間たちぃ!…私達をはめるなんて出来ないのにねぇ~キャハハハは!」
◇
その数刻前。
人族側は、対天使と対神族にたいするチームを編成していた。
対熾天使は、最高位騎士たちに。
対女神は、ブラッドと
相対する。
「…で、今日がその日な訳だが」
「…」
王宮前に集合した皆は、そのあまりの静かさに驚いていた。
普段は人通りも多く、喧騒的であるが、全員避難している現在はーー
「…少し寂しいっすねー」
「…あぁ…」
最高位騎士たちがそのような話をしていた。
「…では、今から作戦決行の位置へとつく。いいな?」
「「おう」」
「…ま、お前たちが重要なんだが」
「…ヒヒ、俺達っすか?」
「…あぁ。要だろうな…ふふ」
作戦の狼煙を上げるのは、犯罪者のうち三人。
コジロウ、アラ、ニーヤの三人。
そして、声を上げて侵略の合図をするのはーー
「セイヤ、頼むぞ」
「うっす」
そして。
女神たちが、到着するのを目撃。
そして、ブラッドの
ーーそして、あるタイミングでーー
「攻め入れぇぇぇぇええええ!!!」
セイヤが合図をする。
そして。
そして、
「ふふふ」
そして。
「馬鹿な人間たちぃ~私達をはめるなんて出来ないのにねぇ~キャハハハ」
「ーーあぁ、そうだな」
透明化解除。
魔法ーー、使用。
「
ーー焦る女神。
動揺しない熾天使。
なるほど、面白い。
さぁ、戦の始まりだ。
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