第7話
「で、調子はどうだ?
「あなた…天使の中でも最上位だからって少し調子に乗り過ぎなんじゃない?あなたこそどうなの?」
「ふむ…王としては当然万全だが?」
「はぁん。まぁいいわ。にしても…」
二人はそこら一体の大地を見渡す。
「流石、
大地は焦土と化し、石ころ一つ無い。
彼、
彼がこの大地を消し飛ばした理由は、殆どない。
強いて言えば、そこに住んでいた少年が、
「…で、例の計画だが…」
「もちろん順調よ?」
「そうか…俺はあまりそちらは詳しくはないがな…」
「仮にこの事を知っていても、対抗できるやつなんて、いないも等しいわ」
「ラディア国にか?」
ニィ、と笑みをみせる、
「えぇ、だって、あの女はもういないんですもの」
最強の騎士アラエル。
彼女の事だろう。
「では、これより、北に約三千キロ移動します」
「わかった…では、俺も護衛をするとしようか」
「神族をなめないでほしいわね。護衛などいらないわ」
「ふむ…しかし、備えるに越したことはないだろう?」
「…備えること?」
「想定外の事態…」
「…ないと思うけど…」
「これだから神族は嫌いなんだ」
「それくらい強いと認めてるということでしょう?それに人間程度が我々にかなうわけがありません。…さて、行きますよ」
「あぁ」
女神、
バキバキと、地面が割れていく。
女神
メキメキメキ、と足が膨れ上がり。
「ふん…ッ!」
バンッ、と弾けた。
輪ゴムがちぎれたように。
爆速で北へ向かう。
体中に風を纏いながら、空を切り、海を軽く割り、森を破壊しながら進む。
ーー神族。
謎多き一種だが、人族には古来よりこのような言い伝えがある。
神族には人間のあらゆる攻撃が通じない。
何故なら神族は人を生み出したからだ。
ーーと。
さて。
圧倒的な速さでソニックブームを作りながら進む女神の横をなんでもないようについて行くのは熾天使の、王。
天使一族は、神族に仕える種族と思われがちだが、進化体系は実は殆ど違う。
どちらかというと人に近しい。
その天使の中で、最も強いのが熾天使。
熾天使の中でも王と呼ばれる、熾天使王。
天使には、名前がない。
故に、力で見分けるのだ。
それが何者かを。
熾天使王の力ならば、女神の速さに追いつくことはたやすかった。
________
王宮。
「
「ええ。今そちらに向かっています」
「ほぅ…」
「サリヴァ、あなたの計画、漏れていないわよね?」
「ええ、もちろん」
「ふふふ…楽しみだわ…かの国ラディアが滅ぶのを見るのは」
「…ふむ、異界召喚で何が出るかは分からんはずだが」
「でも、禁止極限術…ってことは、もうヤバイってことは確実なのよ…」
「それも、そうなのか…」
「…で、女神様、報酬の方なのですが…」
「あー、あとでついたら渡すわ」
「わかりました!」
サリヴァの欲しいもの。
それは単純であった。
それは、命であった。
永き命が欲しかった。
「…では、私はこれで」
今、女神の映像は女神のみしか写っていなかった。
背景はものすごいスピードで通過していっていたが。
「…あぁ、楽しみだ…!」
そろそろ、始まる。
異界からの来訪者が。
おとずれる。
冥府の門を叩いて。
◇
「…いいか、お前たち」
かつて、犯罪を犯した四人組。
ろくでもない四人だ。
しかし、腕は保証できる。
「お前たちは、これから戦に行く。お前たちの役目は、まぁ雑魚狩りだな、ま、ピッタリだろ」
そこで一人が疑問に思ったのか口を出す。
「雑魚?」
「東国では、
「何か、指定は?」
「無いな。お前たちの倒したいように倒せばいい。ただそれ以外の仕事に厄介は出すな。そうしたら殺すからな」
淡々と告げる。
かつの犯罪者など、戦わせたくはないのだが。
南の英雄、ニーヤ。
北の鉄人、アラ。
東の巨人、コジロウ。
西の魔人、セイヤ。
その四人になる。
「…ヒヒッ…しかし、嬉しいなあ、ブラッド様…だ、だって…どんな倒し方でもいいってそれ…」
北の鉄人、アラはそう言う。
「ま、それだけの余裕があれば良いがな」
言っても、この四人は年っちゃ年だからな。
「では、明日、我々女神天使討滅部隊による、治癒の神、
現在。
『おう!』
全員の声が聞こえる。
住人の避難はすべて完了したと報告があった。
さぁ、あとは王宮で会おうじゃないか。
神と天使ども。
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