第3話 この世界の在り方

 ディアが街に出てブラブラしていると、直ぐにカードゲームに勤しむ若者が目に入る。ディアが街に広めているカードだ。

「クソッ! 5のカードで勝負に出るやつがあるか!」

「読めなかっただろ」

 聞こえてくる会話を聞く限り、計画はうまく行っているようだ。彼らの近くを通り過ぎ、そのまま公園に向かう。

「しかし平和な国で助かったな。これなら計画を遂行できる」

 整備された森の中で大きな木を見上げながらディアは言う。


 一通り表の空気も吸ったし戻ろうかとディアは来た道を戻り始めた。先ほどカードゲームに興じていた若者が誰かと揉めていた。

「そのようなものをやってはいけません!」

 男性が声を荒らげている。教会のものだ。ディアは何が起きているのか瞬時に察した。

「おいおい、何がいけないってんだ?」

 ディアは神父と若者の間に割って入る。

「このカードは神を冒涜するものです。この世にこのような教えはあってはなりません」

「それを言うということは神父さん、あんたもカードのことはかなり理解しているだろ?」

 神父は言い淀んだ。

「このカードを作ったのは俺だ。だからカードが何を示せるのかは知っている。つまり神父さんはこのカードが神の存在を証明してしまわないのかが不安なんだろ?」

 神父は頷いた。

「あなた、なんてことをしてくれたんですか! こんなものが人々に広まったらら神は力を失ってしまいます!」

 何というかどこの世界も変わらんな。ディアはそう思った。

「俺が以前いた世界でも似たような話があったよ。だけど数学や物理学は神には辿り着けなかった。そして多分この世界でも」


 これ以上論争しても仕方ないのでディアは立ち去ったが、しかし、神は重大な問題だ。何故ならば神が実在だとディアは知っているからだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る