第2話 リ スタートダッシュ


「ここ異世界じゃね〜〜!」

興奮したテンションに任せおもわず叫んでしまった悠真は、周囲の人から突き刺さるようなしせんをあびてしまった。

「あの子大丈夫かしら」

「大丈夫なわけないでしょ。服もなんか変だし。」

「そうね、外国人かしら。それにしては言葉が流暢だけど。」

(穴があったら入りたい!)と胸中で叫びながら、やらかしたな〜、と思った。

だが、そこで1つの違和感に気づく、あれ?あの人、言葉が流暢って言わなかったか?

それに、向こうの言葉がわかるぞ!

「あ、あのすみません。」

「ヒッィ」呼びかけた瞬間の表情の豹変さ、(あー、これ完全に引かれてるわ〜)

「なっ、なんでしょうか?」

恐る恐る、先ほどの女性が声をかけてくれた。

「あ、はい。あの、その〜自分、決して怪しいものではありません!そのですね、あっ!ちょっと待って下さい。」

(おい、思い出せ!これは俗に言う初めての会話発生イベント!と、なればどーすんだっけ。)

よし、これで行こうと納得のいく案が浮かぶまで約10秒。ここの時間が短かったのは沢山読んでいたおかげであるだろう。

「私は遠くの国の日本と言う所から来たものです。そこから、彷徨い歩き気づいたらここにいました。」

「へぇ〜日本と言う国から。」

「はい、それでここはどこですか?」

「ここは、ヒサカタ村よ。」

随分と異世界では、聞かないようなワードに驚いてしまった。それも、認識している意味が日本の意味と同じなら、普通村の名前につけるような名前じゃない。

「ヒサカタですか。その言葉は私のいた国で使われていた言葉なのですが、なにか関係はありますかね?」

「さぁ、それは私にはわからないな、村の由来だったら村長が1番よく知ってる。話した感じ悪い人じゃなさそうだし、後で合わせてやるよ。」

「おっ、ありがとうございます!」

僕は内心こんなにうまく行くとは思っていなかった。異世界では良いスタートダッシュを切れたことに、心の中でガッツポーズを決めていた。

「とりあえず、宿とかほしいのですが、教えてもらえますか?」

「ん?」

「はい?」

「え?」

「いやいや!」

「だから、宿は?やーーどーーー。場所を教えて下さいって。」

「もうしわけないが、この村に宿はないな。」

「え〜〜〜〜」

ここ1年で一番大きい声を出してしまった。否、産まれてから1番と言っても差し支えないかも知れない。

「ここから、1番近い宿だと。・・・・・・あっ、隣の町に行かないとないかもね。」

「町ですか。それってここからどのぐらいの距離ですか?」

「ここから、歩いて丸2日かな。悪くて、3日ぐらいか。」

「ん?3日?というと」

「3日は3日だよ。ここから、360km程度かな。」

「その、移動するやつは、ないの?馬車とかは?」

「馬車は1週間に一回来るけど、それも、今朝行ったばっかりだから、次来るのはちょうど1週間後だよ。」

「嘘だろ〜〜」

まさかの、歩きも遠くて馬車もしばらく来ないとか、異世界でもスタートダッシュ失敗かよ〜〜〜!



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