第54話 今日もバトル日和4
ヴァリアントバーストとエビルバーストの衝突は、放ったお互いをボロ雑巾のようにし、地面にその体を落とした。
渾身の力を込め、フラフラながらもなんとか先に立ち上がったのはラディすけだった。
「クソッ、なんでだ! なんでいつもいつもいつも!」
ヴァリアントバーストの聖なる力のせいで、シーザは元の竜騎士の姿へと戻っていた。
「憎悪の種まで使ってお前に勝てない! お前とこのシーザ、何が違うと言うんだ!」
ラディすけはシーザの元へ歩いていく。
「何も違わないさ。ただオレよりシーザの方が純粋だったってだけのことだ」
シーザは顔を真っ赤にして「純粋だと?」と怒り狂う。
「そうさ、純粋さ。純粋に力を求めている。でもお前はいつも一歩上へ行っちまう。追いつけた試しがない」
「シーザ、僕はこう思うんだ」
守人が口を開く。
「ラディすけは常に前を見ていた。だから強くなれたんだ。でも君は後ろ向きに人を憎んでばかり。前を見ていない。前を見なくちゃ前に進めるワケないじゃないか」
「前を向く……」
「だそうだよ、カイル」
「高和も……」
「そうだぜシーザ。お前も、悲嘆の種や憎悪の種なんかに頼らずとも十分強いんだ。あとは心構えだけってことさ」
「心構え……」
シーザは立ち上がる。立ち上がった様子はフラフラなれど、顔つきは晴々としたものだった。
「おれはしょうきにもどった!」
「それでこそオレの知っているシーザだ」
公園に風が吹いた。草と花が揺れた。
エピローグ
今日も晴れていた。
「バトル日和だな」
「そうだね」
ラディすけは守人を呼ぶ。
「その、なんだ。ありがとうな。シーザを救ってくれて」
守人はラディすけを両手ですくい上げ、顔の前へ持っていく。
「ラディすけの友だちなら僕の友だちだからね」
守人は「当然だよ」と笑顔を見せる。
「それでも、ありがとうな」
守人はラディすけを肩に乗せる。
「さあ行こう!」
「バトルしにな!」
そして二人は部屋を出たのだった。
おしまい
バトルアーツ ぴいたん @piitanndou
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