第52話 今日もバトル日和2

 ラディすけの放つ気合の一撃を、シーザは簡単に受け止める。

「そんな、程度か!」

 シーザはラディすけを振り払う。体勢を崩したラディすけにシーザは間合いを詰め、上段からの一撃を食らわせる。

「ラディすけ!」

 思わずヴァルきちが叫ぶ。

 ラディすけは逆でんぐり返しでそれを避ける。

 そして改めて間合いを取る。

「なかなかやるじゃねえかシーザ」

「今ので掴めた。お前を倒せるぞ、ラディ」

 ラディすけは、間合いを一気に詰めてきたシーザが放つ連続剣をなんとか受け切る。

 シーザが間合いを取ったところで、ラディすけは思わず膝をつく。

「おいおい、どうした? 勇者がこの程度で膝をつくのか?」

 ラディすけは立ち上がり、剣をかまえる。

「それでこそ勇者、このシーザが殺したい相手」

「なんでそこまでラディすけを殺したいんだよ! もういいじゃないか!」

 シーザの視線が守人を向く。その視線を感じただけで守人は思わず一歩後ずさった。

「王命だからだよ。それ以上でも以下でもない」

 ラディすけはシーザに斬りかかる。

「シーザ、そいつは嘘だぜ! それ以上に何か理由があるハズだ!」

シーザはラディすけの連続剣をあえて自らの体で受けきる。魔竜騎士の鎧は想像以上に強固で、クリスタルブレイドでは刃が立たない! シーザはラディすけの首を掴み、体を投げ捨てた。

「お前! お前お前お前お前!」

 シーザの足が幾度となくラディすけを踏みつける。ラディすけはどんどん地面に埋まっていく。

「お前は! なんでこのシーザより強いんだ! 何をしても、どんなことをしても、一歩先に行っちまう。そんな、そんなのがなぁ、許せるワケねえだろうが!」

 最後のストンピングで、ラディすけは完全に地面に埋まった。

「ラディすけ!」

「チートバトルアーツゥ!」

 駆け寄ろうとした四人を制したのは守人だった。本来なら一番駆け寄りたいハズの守人が、皆に待てという。

「まだだよ、戦いは終わっていない」

地面に埋まったラディすけに、シーザは止めの一撃を放とうとしている。

「深淵に触れる暗黒よ、古の契約に基づき我が前にその力を示せ!」

 ゆっくりとした詠唱が終わり、シーザは両てのひらをラディすけに向ける。

「ダークネスバスター!」

 大きな爆発があり、もうもうとたちこめる土煙がラディすけの姿を消す。

 そしてシーザは遂に叫んだのだ。

「勝った!」

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