第21話 魔王の世界3

 勇者二人はしばらくダクトの中を進み、明かりが見えた場所から外へと出た。

「ギギギ……侵入者ハッケン」

 ゾンビのような話しようのバトルアーツに即座に見つかったが、ラディすけは剣でゾンビバトルアーツを切り捨てた。

 しかしその後も敵に見つかり、迫り来る軍勢にたった二人で向かっていった。

「チッ、どこに魔王はいるんだ!」

「待て、ラディすけ。この体マップ機能が搭載されている。コッチだ!」

 ヒロ太にラディすけはついていく。

 サイクロプス型のバトルアーツが守っていた扉の向こうに魔王は居るらしい。

 普段なら大いに手こずるハズの大型バトルアーツも必殺技を使わずに、一瞬で倒した二人は部屋の中へと入っていく。

「バトルアーツの研究室か」

「ヒロ太、こっちだ」

 ラディすけが部屋へ入った後にヒロ太は部屋へと入っていく。そこはラディすけが魔王にボコボコにやられた場所だった。

「ようこそ、諸君」

「貴様が魔王か」

「魔王、今一度決着をつけるぞ」

 ラディすけが剣をかまえると同時に、ヒロ太も剣をかまえる。その様子を見て、魔王は笑う。

「体を新しくした程度で、この魔王に相対したか」

 魔王は充電ケーブルを外し、そばに置いてあった大型メイスを手に取る。

「さあ、始める前に一応聞いておく。この魔王の軍門に下れ。そうすれば……」

「黙れ! 魔王の言葉を聞く耳なんかねえ!」

 ラディすけの言葉を聞いて、魔王は思わず口角を上げた。

「まあいい、どちらにしろ褒美はやろうと思っていた。この魔王の元まで来れた褒美をな」

 魔王はメイスをかまえることなく、ラディすけとヒロ太に向け歩き出した。

「貴様らの欲しいものはこの魔王の命であろう。ならばかかってくるがいい。褒美として戦ってやる」

「舐めたマネを。しかし、容赦はしない!」

 ヒロ太とラディすけは魔王へ駆けていく。

「魔王! 叩っ斬ってやるぜ!」

「では相手にしてやろう」

 人類の命運をかけた戦いが始まったのだった。




     エピローグ



「ああ、ラディすけ、ヒロ太、大丈夫かなあ?」

 守人の心配する顔をよそに、研究員はスマホをいじっている。

「こんな時に何やっているんですか!」

「あの二人ワーグと戦い始めたようだね」

「どうしてわかるんです?」

「このスマホに送られて来るデータを見たんだ。一緒に見るかい?」

 守人は奪い取るように研究員のスマホを見る。

「ワーグは研究室にまだいるようだね」

 三つの点がぶつかり合っている。守人は強く二人の無事を祈った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る