第15話 雨のち快晴!3

 三人は公園までやってきたのだった。そこではすでに、バトルをするためにやって来た少年やら少女やらが多少なりともいた。

「さて、誰とバトルするかな?」

「あ、天野くん」

 快活な声が聞こえてきた。ミサがこっちに手を振りながらやって来たのだった。

「坂下さん」

「今日もバトル相手を探しにきたの?」

「うん、そうなんだ。でも誰とバトルしようかなあ? とね」

 ミサが「ならわたしと」と、言いかけたところだった。

「よう天野ォ、チートバトルアーツも一緒かァ」

 鎌瀬だった。

「やあ鎌瀬くん」

「よう坂下ァ。天野ォ、オレとバトルしようぜェ。ハウンドβによォ、新装備をつけたんだよォ」

 審判を買って出たミサの元、守人とラディすけは鎌瀬とハウンドβに相対する。

「それじゃあいくよ? レディー……ゴー!」

 ラディすけは剣を引き抜きながらハウンドβに向かって駆ける! 奴の今までの傾向からして武器は銃。ならば間合いを撮られる前に、詰めた方がいい!

「オメーで切れ味確かめてやる!」

「甘いぞォ! 天野ォ」

 ハウンドβはラディすけ気合の一撃を受け止める。

 ハウンドβの今回の獲物、それはプラズマナイフだった。

「銃じゃない……ラディすけ! 離れて!」

「遅いぞォ! 天野ォ」

 ハウンドβの音速の一撃がラディすけを襲う! しかしラディすけは皮一枚のところでかわしきる。

「やるなァチートバトルアーツゥ」

「ヘッ、その程度で負けねえよ」

 ラディすけは鼻をこすりつつ、再びハウンドβにアタックを仕掛ける。ハウンドβも唸り声を上げながらラディすけに向かって突進していく。

 幾度も剣とナイフが合わさり、その度に火花を散らすような攻防が続いた。

「やるじゃねえか! ハウンドっていったか?」

 ハウンドもラディすけ同様、嬉しそうにナイフを振る。

「ラディすけ! 間合いをとって必殺技だ!」

「ハウンドβァ、こっちも必殺技いくぞォ!」

 両者間合いを取り、必殺技のかまえを取る。

 ラディすけは剣を肩の位置にかまえ、ハウンドβはナイフをしまった。

「行け! オレの必殺技! ヴァリアントブレイク!」

「ケルベロスの咆哮ォ!」

 ラディすけはハウンドβに向け突進していく!

 ハウンドβは大きく開かられた口からビームを放つ!

「どうだ天野ォ、オレとハウンドβの必殺技はよォ」

「すごいよ鎌瀬くん。負けるかも、一瞬そう思った。でも! 僕たちの勝ちだ!」

 ラディすけはケルベロスの咆哮を切り裂きながらも突進をやめない。そして、ヴァリアントブレイクはハウンドβを吹っ飛ばした!

「機能停止だね? 勝者は天野くんラディすけペア!」

「やったなァ天野ォ」

 皆がラディすけの復活を喜んでいた。

 雨雲はすっかりどこかへ行き、空は晴れ渡っていた。



     エピローグ



「起きたか。勇者め」

 まどろみの中、かつて魔王と呼ばれたそれはラディすけの復活を察知した。

 しかし、魔王の目覚めにはまだ時間がかかりそうだった。

「今少しまどろむとするか」

 魔王は眠る。ワーグの体の中で、復活の時を待っていた。

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