第5話 いざ異世界へ
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これは【とある世界】のお話し。
ゲームが世界で認められた世界は魔法が使える世界だった。
そこで毎日のように行われる多種多様のゲーム。
その代表ゲームの一つが『ダイスゲーム』と呼ばれるものだった。
当初はペンタゴンと呼ばれる生命体(別名:五種生命体)――神、天使、吸血鬼、エルフ、人間が極力平等に戦えるゲームとして開発された。
しかしペンタゴンの力関係は数百年の歴史の中で歪み崩れる事になる。
その原因となった物が魔法。
魔法はつい最近見つかった最新科学から生まれた偶然の産物であり、特殊な勉強をすることでペンタゴンなら誰でも扱える物として存在を確立した。
ただしその定義は曖昧で明確には決まらなかった。
だけど、ペンタゴンで唯一人間は魔法を扱う事を多種種族から恐れられ、魔法の知識や技術について一切教えて貰えず、一世代遅れる事になった人間。
理由は理不尽気周りなく――人の欲は強欲で醜いかららしい。
それからは必然。
今までペンタゴンで均衡していた力関係が崩れ、人間はペンタゴンで最弱の種族となった。それからは最新の魔法を使われた事が認識できないもしくは上手く対抗できないという観点から領土、食料、技術、知識を掛けた戦いで大敗。
疲弊しきった人間は神の国の一つ『帝王の都』の有力者の一人に助けを求めた。
有力者は即答する。
「私が救いの手を差し伸べると約束しましょう」
それが更なる悪夢の始まり。
人間の国――大和。
その大和の全決定権が『帝王の都』の有力者――アギルに奪われた。
それからアギルは『帝王の都』を離れ、住居を大和の王城へと移した。
神の国々は正式な勝負(ダイスゲーム)ではなく、騙して大和の領土を奪ったアギルを国際指名手配犯としたが、世界は神の国々がこれ以上人間の領土を騙し合いで取るのではないかと警戒し手を出すなと言ってきた。
理由は簡単。
人間の領土を手に入れたい国は沢山あると言う事だ。
故にアギルは世界に見張られながらも、人間の国――大和の王となり自由暴虐の限りを今も尽くしている。
――いざ異世界。
――。
――――。
「……ここは?」
草原を吹き抜ける風の感触。
大地の太陽の恵みを受けた芝が辺り一面生え、刹那はそこに立っていた。
わけがわからず、困り果てた表情のまま視線を左に移す。
「わぁ~おォォ――なるほど……これが異世界と言う奴なのか……?」
――マジで?
本当に別世界に来たのか?
そう思うが、刹那は口にはしないことにした。
「空を見上げればドラゴン! うん、完璧だね☆」
と、わけがわからない事を言う妹――育枝。
そんなハイテンションな育枝を見て、ため息しかでない刹那。
――これ、本当に現実なのか……。
ん?
――これ、本当に元の世界に戻れるんだよな?
と、早くも帰りの心配をする刹那。
念のため、空を見上げるとそこにはとても大きな鳥が口から火を吐いている。
間違いない――ドラゴンだ。
ああー、こっちに近づいてくるな。
そう頭が認識した刹那は育枝を自分の方に引き寄せて思いきり抱きしめて護る。
内心これ意味があるのか? と思ったが育枝に何かあってはならないと兄としての務めを最大限可能な限り務める。
「おいおいおいおい、ば、ば、ばかぁ、前を見ろぉぉぉぉ!!!」
そのまま急降下してきたドラゴンは刹那と育枝の頭上ギリギリを通り過ぎて行った。
二人がその行方を目で追うとその先には大きな城壁が見えた。
「なぁ、育枝?」
「なぁ~にぃー?」
頬を赤くして照れた育枝は刹那の胸に顔を埋めながら答える。
そこに危機感はなく、あるのは心地よいドキドキ。
刹那の心臓と育枝の心臓は別の理由でそれぞれ心拍数が急激に上昇していた。
「これ現実だよな?」
「そうだよ?」
「とりあえず人がいるであろう城壁方向に歩いて行くか?」
「うん。ならはぐれないように手を繋いで行こう」
「そうだな……てかテンション高くない?」
「気のせいだよ♪」
そうして二人は兄妹仲良く手を繋いで、遠目に見える城壁へと歩いていった。
城壁へと辿り着いた二人はそのまま検問を難なく抜けて街の中へと入っていく。
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