武力攻撃事態

松前の駅前は一触即発ムードだった。自衛隊のトラックや装甲車とは違う表記の車両がひしめき合う。「リクホウって言ってますが?」

俺は行きかう会話が気になった。「陸上列車砲術軍だ。戦略ロケット軍、情報軍とともに国土防衛軍から独立、発展した。君が再結集した世界線だ」

教授はこともなげに言う。そして令和新山は相変わらず駅前ロータリーに生えていた。

「あの山は駒ケ岳破局噴火の産物というか因果だと言いましたよね。 放置していいんですか?」

「戦争犯罪の証拠品だよ。侵略を不快に思う諸世界に非道を訴えている」

教授の言う通りマスコミが群がっている。リポーターが言うには敵対的世界線の存在が公にされた。国は令和新山の隆起を武力攻撃事態に認定した。松前鉱山株式会社は国有化され【SG】ごと地質学戦争司令部の指揮下に入った。

「いよいよきな臭くなってきたな」

俺は有事動員令によって軍服を着ることになったので入営前の準備と称して1日だけオフを貰った。

それは日一萌から気になる連絡があったからだ。

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