思い出作りその後リナ編(第551話~第553話)
第551話 思い出作りその後リナ編・王都を回る2人。
リナとの思い出作りその後が始まる。
そう言っても行きはヨシとリナを連れて王都に顔を出して、ヨシは先日の千体を超える魔物の素材の代金の受け取りと他にもやる事があると言って城に行き「帰りに迎えに来てください」と言って別行動になる。
リナとミチトはモンアードでリナに似合う指輪を選んで、買うついでにそれを複製してみたりしている。店は今回も青い顔で「あの…ご注文いただけましたらおつくりしますのでそれはご勘弁ください」と言う。
本来ならばこれでもかと行為を続けてどこかでご飯を食べてのんびりするのが1番なのだが、ヨシを連れてくる約束をしてしまっていた事と、大鍋亭では現在アクィがイブとライブに頼まれてアップルパイと格闘している。
ライブに至ってはこっそり一度行った事のあるスティエット村に転移してから山に出て北部産のリンゴの木を探してくる徹底ぶりだった。
その為、流石に一階の店部分でアクィがアップルパイを焼き、メロが舌鼓を打ち、イブとライブがダメ出しをする中、二階で行為に及ぶ訳にもいかずに王都で過ごしている。
だが言う程王都に詳しくないミチトは事あるごとにシック達にお勧めの店を聞いていて、そのシック達も王都に居を構えるがそこまで詳しい訳ではないので、事あるごとに王都に来ていたフツーノや若い使用人達が捕まって「ミチト君が美味しい紅茶の店を探しているんだが知っているかな?」「あの冒険者の彼にお勧めの店をおしえてくれないかい?」と言われて全員が四苦八苦していた。
少し歩くと治療院のそばに来てしまい、リナに「この治療院にシヤの先輩にあたるフラとライが居るんですよ」と説明をしていると、丁度第二騎士団がトウテから到着をして術人間の子供達を移送してくれたのだろう。
治療院を選んだ子達がミチトに気付いて「マスター!」「マスター来てくれたの!?」と喜んで手を振ってくる。
思わぬ展開にリナは優しい面持ちで「あらら、今日だったんだね」と言ってミチトと手を振るとミチトは少し申し訳なさそうに「失念してました」と言った。
ミチトは第二騎士団に待ってもらって術人間の子供達に「トウテでも言ったけど君達は自分で選んでここに来たんだ。その事を忘れずに素晴らしい仕事をやり遂げてね」と言うと皆気持ちよく返事をして中に入って行く。
ミチトは第二騎士団の人に「邪魔をしてすみませんでした」と謝ると団員は「いえ、あなたに会えて子供達も喜んでます。これからもたまには来てあげてください。後はあの火炎柱をラージポットで見ました。どうか貴い心を失わずに国の為によろしくお願い申し上げます」と言って挨拶をしてきた。
相変わらず貴いと言われると否定する癖のあるミチトが「え?俺は貴くない…」と言った時、治療院から2人の子供が駆け寄ってくる。
「マスター!」
「来たの!?」
それはフラとライで嬉しそうにミチトの前に行くとミチトの手を持ってニコニコとする。
「フラとライ!どうしたの?」
「新しく来た術人間達がマスターに会ったって話しているのが聞こえたから」
「だから意識したらマスターを感じたから来た」
言われてみるとフラとライには全然会っていなかったミチトは悪い事をしたなと思いながら2人をリナの方に向かせて「2人とも、この人はリナさんで俺の奥さんになってくれる人」と紹介をする。リナもニコニコと優しい笑顔で「よろしくね」と声をかけるとフラとライは嬉しそうに「はい!フラです!」「ライです!」と言って挨拶をした。
挨拶が終わったフラとライがミチトに質問をした。
「マスター、ウシローノ達が言ってたけどトロイを倒したの?」
「うん、2人の後で術人間にされたシヤって男の子と倒してきたよ」
この言葉に本当に嬉しそうにライが「ありがとうマスター」と言った。
ミチトは謙遜するように「いや、頑張ってくれたのはシヤだよ」と教える。
「マスター?シヤは何処?」
「シヤはウシローノさん達と一緒で騎士団の仕事も治療院の仕事もしたいって言ったよ」
「そうか、会ったら礼を言うよ」
「俺も言う」
「うん。シヤもフラとライに感謝してたよ。2人が王都に着けたから自分達が助かったってね」
2人は謙遜するように「そんな事ない」「俺達は必死に王都に来ただけ」と言う。
「マスター、ウシローノから聞いたけど俺達もマスターの家に行きたい」
「え?なんで?」
「ずっとポテトフライ待ってる」
「マスターは忙しいからってウシローノ達とシックさんに言われて我慢してた」
「でもウシローノ達はマスターの家でご馳走食べたって言うから」
「俺たちも行きたい」
ここでミチトがライブを連れてフラとライを助けた日の会話を思い出して「あ、約束してたね」と言う。
ここで看護師が出てきて「フラ君!ライ君!患者さん放って何やってるの!」と注意をする。
フラとライはシュンとした顔で「マスター来てたから」「会わないと帰っちゃうから」と説明をする。マスターと言われた看護師はミチトに気付いて会釈をする。
「フラとライは患者さんを放ってきたの?」
「…ごめんなさい」
「ごめんなさい」
このやり取りの意味がわからないリナは「ミチト?」と聞くとミチトは「フラとライはポテトフライが好きすぎて名前をフラとライにしてて、俺が今度ポテトフライを差し入れるって言っていたのにオーバーフローとかあって延び延びになってたんです。だから久しぶりで会いに来てくれて、今もトウテに行きたいって…」と説明をする。
リナはようやく合点のいった顔で「ああ、なら今から作ってくるからフラとライはお仕事をしながら待っていなさい」と言うとフラとライに微笑む。
フラとライは本当に嬉しそうにお互いを見てからリナを見る。
「本当ですか!」
「ありがとうリナさん!」
これが予想外なのはミチトで折角のデートに余計なものを含めていいのかという気持ちで「リナさん、いいの?」と聞くとリナは「いいわよ」と言う。「ほら、行こうよミチト。あ…でも大鍋亭は長くなるからウチにしよう」と言われたのでミチトはリナとサミアに行く。
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