思い出作りその後アイリス編。(第546話~第550話)
第546話 思い出作りその後アイリス編・王都のプリン。
「マスター!行きますよ!(ミチトさん、今日はイブと私の2人分相手してね)」
朝一番に話しかけてきたイブは会話と同時に伝心術でアイリスが話しかけてくるという離れ業をやってきた。
ミチトはイブ(アイリス)に付き合う形で返事を試みる。
「ええぇぇぇ…何それ?頭おかしくなるよ(うん、行こうか)」
これにニコニコっと笑ったイブが「マスター、逆ですよ?」とツッコミを入れてくる。
自分が間違った事に気付いていなかったミチトは「あ…」と言って照れ臭そうに頭をかく。
「(仕方のないミチトさん。器用貧乏で何とかしてほしいけど難しそうだから要所要所にするね)」
「(助かるよ)」
リビングに行くとイブが「マスター!王都で人気のプリン屋さんを3つ教えてもらいましたから行きますよー」と張り切る。
これを聞いていたリナが「…ミチト、身体プリンにならない?」と心配をしてくるので「この前もプリン責めでした。何とかなりますよ」と答える。リナは「食べる前に口直しって言うのもアレだけど食べていきなよ」と言ってソーセージを焼いて出してくれる。
ミチトはソーセージの塩気に感謝をしながらリナに行ってくると告げる。
王都に着くとミチトは改めて「アイリスおはよう」と言う。
横に居るイブはもうイブではなくアイリスになっていて「おはようミチトさん」と言う。
「昨日仕事が増えたからそれだけは許してくれるかな?」
「はい。アクィさんからよろしく頼まれたから平気ですよ」
アイリスの返事に感謝をしたミチトは「助かるよ」と言う。
「それでどう回るの?」
「まずは王都で3番目に人気とイイーヨさんが教えてくれたお店に行きましょう」
街ゆく人達はイブの胸元を見てしまっている。
人と言うものは大きいものに目がいってしまうのかと思いつつもやはりオヤジミチトとしては面白くない。イイーヨが買った服は別段胸を強調する服ではなくイブの愛らしさを引き立てるような服だ。
それでも胸が目立ってしまうイブにミチトは「アイリス、胸元をジロジロ見られるから胸だけ認識阻害する?」と持ちかける。
照れたアイリスが「えぇ」と言って笑うと「そこまでしないで平気ですよ。トウテでもセルースさんとか見ないようにしつつも目が行くみたいだから慣れましたよ」と言う。
今度はセルースの名前が出て面白くないミチトは「慣れたって…んー…苛立つ」と不快感を露わにする。
「ミチトさん、ミチトさんはジロジロ見ないですよね?アクィさんとも仲がいいからミチトさんは大きいのは嫌いですか?」
アクィと仲が良い、小さいのが好きと思われてしまうミチトは困りながら「…そう言うんじゃ無いって」と言って呆れるとアイリスは「よくわからない」と言った。
アイリスを連れたミチトは公園のそばまでくると朝から物凄い人混みで賑わっている。
人混みにアイリスは「お祭りですかね?」と世間話のように言う。
それをみたミチトは「あ…、もう居るの?」と漏らす。
「え?もう居る?」
「昨日の話だよ。お昼前って言ったのになぁ」
公園の人混みがミチトに気づくと駆け寄ってきて「人を集めました!よろしくお願いします!」と言う。
話しかけてきた人間が昨日と違っているので「昨日の人は?」と聞くとまだ戻ってきていないと言う。
「約束はお昼前です。それまで待っていてください」
ミチトはそう言ってアイリスと先に進むと「待てよ悪魔!」と怒鳴り声が聞こえる。
そう言ったのは二十歳くらいの男性で「よくも母さんを!」と言ってナイフを持って走ってきた。
だが男は足元を凍りつかされて身動きが取れなくなる。
男を見て「はぁ…」と言ってため息をついたミチトは「やっぱりこう言う人も居るよな」と呟いてから集まった人たちに「やめますか?」と聞く。正直頼まれたから出向いたのであって恨みを買うような話ではない。だから辞めても構わない。
この言葉にどよめきが起きた後で許してくれと言う声が漏れる。
「じゃあ昼前に来ますからその人を説得してくださいね」と言って辟易とした気持ちで公園を離れるミチトの耳には「何て事をしてくれた!」「気が変わったらどうするんだ!」と言う怒号が聞こえていた。
イイーヨの勧めたプリンの店は悪くなかったがアイリスの好みとは全く違っていて「これも美味しいけどこれじゃない」と言っている。
それはミチトにもわかる違いで、この店のプリンはギリギリの甘さと硬さがウリで辛うじて保てている形や甘さが口の中でギリギリいやらしくない、お茶で流せるものでアイリスの好みは食事のようなしっかりとした硬さでガツンと甘いプリン。
そして何よりこの店のプリンは子供サイズと言いたくなる小ささで、イブなら大らかに笑って「おかわりください!!」と言えるがアイリスだから何回かに分けて口に運ぶ。
あっという間にお茶を終わらせて外に出たミチトが「アイリスにはあんまりだったかな?」と聞くと困り顔のアイリスが「はい。何個も食べられれば良いんですけどあのお店ではお替わりは頼めないかな?」と言って残念そうにする。
2店舗目も羽根のように柔らかくふわっと甘いプリンが出てきてアイリスはガッカリする。
今回の量は悪くなかったが、ここでなんとなく確証が得られたのは王都の好みは薄味で柔らかいのかもしれない。
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