思い出作りその後メロ編。(第535話~第536話)

第535話 思い出作りその後メロ編・パンケーキと魚料理。

思い出作りその後が始まった。


初日のメロはアクィと3人でパンケーキを再び食べたいと言っていたので朝から王都に行ってのんびりと散策しながらパンケーキを食べるつもりでいたら「モバテ様達から寄るように言われたわ」と言うアクィの言葉で嫌々城に顔を出す羽目になる。


ミチトとアクィ、そしてメロの3人家族を見たモバテ達は微笑ましい顔になりながら書状を渡してくる。


「おう、これで5日間好きなだけ楽しんでくれ。これがあってもつまらん事を言う店があったら教えてくれ」

「王都にそんな店は不要だからね」

「この前の御礼ですから気兼ねなく楽しんできてくださいね」


そう言われたミチト達は書状一つで国賓が如きもてなしを各店舗で受ける羽目になる。

今回メロが選んだパンケーキの店は可愛らしい趣のお店でメロがそういうモノに興味を持ってくれたことが嬉しくて店に入る。

店に入るなりアクィが案内に来た店員に「一番いい席に通してくださる?」と聞く。

アクィを貴族だと察した店員が席に通すと別の店員が水を持ってくる。


その店員を呼び止めたアクィが書状を見せると店員が目を丸くして「ち…ちちち…チャズ家?リミール家?アンチ家!?」と言って気絶しそうな顔をしたタイミングで、追加でサルバン家とディヴァント家の書状も見せると「ヒィィィッ」と声を上げて厨房に消えていき商品見本みたいなパンケーキを出してきた。


一連のやり取りがいたたまれないミチトは「アクィ、普通にお金払おうよ」と言うのだが、アクィは当然と言う顔で「いいのよ。ミチトはすごい事をしたんだから正当な対価だわ」と言い切りメロも「パパは凄いんだよね!」と言う。


そう言って盛り上がるメロとアクィに何もいえないミチト。

注文した紅茶も厳選を重ねた茶葉と食器とお湯で入れましたといわんばかりのものが出てくる。

いたたまれないミチトをよそに満足そうなアクィとメロ。


パンケーキをまた3人で食べて外に出て公園を散策する。

メロは芝生を駆け回りミチトとアクィがベンチに腰掛けてそれを眺める。


メロが小鳥を追いかけて少し離れたタイミングでアクィが「ねえ?」と不満げな顔で言う。

ミチトは「なに?」と返すとアクィは「夜の話よ」と言う。


「これ以上なにを望むんだよ?」

ミチトとリナの3日間が終わって大鍋亭の営業再会を済ませた後、トウテの生活が落ち着いてきた頃からライブが夜にミチトと眠る人の話をし始めた。


この会話にアクィとメロも入る事になり、トウテの大鍋亭には5人がいるので少なくとも5日が埋まる事になる。


「マスターの日も1日だけ用意しましょう」

イブも率先して会話に混ざる始末で、イブ、ライブ、リナ、メロ、アクィ、リナ、ミチトと言う順番になる。


正直メロの日は大概アクィに声がかかるので不公平とライブが言ったのだがメロがリナを呼ぶ事もあるし、ライブ達に頼まれて了承する事もある。

それを経て一度アクィとの日を迎えた訳だがアクィはその結果に不満タラタラだった。


「…なんで何もしないのよ?」

「何を言っているんだよ」


「私は準備も覚悟もOKで待っていたのに…すぐにグースカ寝始めたじゃないのよ!」

ミチトはアクィとの日に「ほら、寝るなら寝ようよ」と言ってベッドに呼ぶと腕枕をして抱きよせるとさっさと眠ってしまった。

まあ、わざとそうした部分もあってこの不満は想定内だった。


「アクィ…、これでも一応なし崩し的に何かと言うとキスしてくるのを放置してるだろ?」

ミチトはこの時の為にこの言葉を用意していた。

アクィならこの言葉で黙ると思って言うと案の定「…それは…そうだけど…」と言ったのだがそれだけでは終わらずに「でもリナさんからはOK貰ったし…」と言った。


寝耳に水のミチトは「はぁ!?」と言ってアクィを見る。


「リナさんは金色からミチトを独占するなって言われて考えを改めたって」

「嘘だろ…」


愕然とするミチトの所にメロが戻って来て「パパー、お昼ごはんは何食べるー?」と聞いてくる。

これで夜の話を逸らせるミチトは「アクィ、希望はある?」と聞くとアクィは「うん、良いかな?」と言った。


アクィはかつてミチトと2人で行った魚料理の店にメロを連れて行く。

前回応援していると言ったウエイトレスはまた来てくれた事に感謝をしてサービスをしたいと言ったのだがアクィが「いえ、今日はその必要はありません」と言ってモバテ達の名前が載った書状とディヴァントとサルバンの書状を見せる。


「え?ええぇぇぇ!?これ…お代を遠慮なくこちらの方々にご請求出来る書状…そんな、恐れ多くて」

そう言って慌てるウエイトレスにアクィは含みのある笑顔で「他にもありますよ」と言うとモブロンとドデモ、カラーガの書状を出して見せる。


驚いたのはミチトで「ええぇぇぇ…アクィ?何それ?」と聞く。

「さっきアプラクサス様とシック様に貰ったのよ。ミチトってば4人にも像をプレゼントしたわよね?あれの御礼とか普段の御礼だって」


確かに数日前に像を作って渡したが下心なんてものはなくてただどんな反応をするか見てみたいだけだったのにこの状況になった事にミチトは「嘘だろ?あんな物で?」と言って遠い目をする。


アクィはシレっと「本当よ。だから大体のことならなんでも出来るわよ?」と言ってニコリと笑う。


「ママ、お姉さんが困って震えてるよ?」

メロの言葉でミチトはウエイトレスを見るとウエイトレスは涙目で震えている。

正直何を選んでも失敗なのではと思っている顔だ。


アクィは貴い者の顔になると「逆に使わないと怒られてしまうのでお勧めを出していただいて過不足なく請求してくださいね」と言う。


アクィの顔と言葉には不思議な力があるのだろうウエイトレスは「…は…はい!!」と言うと厨房に駆けて行き「店長〜!!一大事です!」と言った。

出てきた店長の男性も書状を見て真っ青になりながら「ありがとうございます!頑張ります!」と調理を始める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る