第534話 この先のトウテ。

「リナさん、皆が変だからちょっと王都まで行ってくるね」

この言葉でミチトは王都に着くなりイイーヨとイイダーロを国営公園まで呼び出して像を与えると「え!?マスター?くれるんですか?」「俺たちまだ半人前だけど滅茶苦茶嬉しいです!帰ったらオヤジ達に自慢します!」と言って飛んで喜ばれる。


それはウシローノとイシホも同じで呼び出して像を渡すと物凄く喜ばれてしまう。

普段ならミチトにべったりでミチトを見送る事までする4人が早く持って帰って家族に見せると言って帰ってしまう。

別にマスターを差し置いて帰るとは何事だとか言う気はないがこの変貌には驚いてしまう。


4人の背中を見ながら「謎だ…、貴族は訳わからない」と言ったミチトはモバテの家に行くと等身大のモバテ、シック、アプラクサスの胸像を作って渡してみる。


最初は何で仕事中に呼び出されたのかという不満げな顔だった3人だったが像を見るなり3人とも震えて喜び出す始末にミチトは言葉を失う。


「ミチト君!今度は1週間後だったよね?損はさせないから必ず顔を出してくれたまえ!」

「私からも御礼をさせて貰いますからね!」

「おう、私からもだ…これだけのことをして貰ったら何か恩返ししなければな」

正直この喜びようは胸像を渡していたらオーバーフローの時に気持ちよく兵士を貸してくれたのではないかと思える程だった。


「貴族は謎だ…」


ミチトは首を傾げながらディヴァント家に帰ると金塊から金色の竜状態の姿を作って渡すと土下座で感謝をされ一生ついて行くと言われる。


「わからない。益々わからない」

そう言いながらようやく気が済んだミチトは大鍋亭に帰宅する。



この日の夜はリナの日で1回目の行為後に今日の話をリナにするとリナも一緒になって首を傾げて「本当わからないね。でもマテはそんな所にお嫁に行って平気なのかね?」と言った。


「良かった!リナさんは俺と同じでした。てっきり俺だけ変なのかと思って、リナさんも像を貰って喜ぶ人だったら明日はザップさん像とかソリードさん像とかクラシ君像とか考えちゃいましたよ」

ミチトの必死な声にリナは「あはは…、そうなる前に止まって良かったよ」と言って笑うとミチトにキスをする。


キスの後で「いやー、本当に皆の顔が怖いんですよ。あれは不安になります」

ミチトがそう言って伝心術で像を見た時のロキ達の顔を見せるとリナは「うわ、これは…」と言った。



「リナさん、来週は思い出作りの続きなので皆と1日ずつ王都に行きますね」

「うん。メロがパンケーキでライブがサイズが合わなくなったから新しい指輪、イブがプリンは聞いたけどアクィって何すんの?」


皆無事にトウテに住めたのだから思い出作りの続き、その後がしたいと言っていて、皆に何がしたいのかを聞くとアクィ以外は色々言ってきた。


「教えてくれないので無しでも良いかと思いますよね」

「やめてあげなよ。本気で泣かれるわよ」


ミチトはリナを抱き寄せて「リナさん、また王都に行きませんか?」と聞く。リナは「うん。行ってもいいの?私の買い物長いし嫌じゃない?」と心配そうに聞く。


「嫌じゃないですよ」と言ったミチトに「嬉しい。ありがとう」とリナは言って抱きしめる。その後で下腹部を撫でながら「赤ちゃん、来てくれるかな?」と聞く。


「はい。きっと来てくれますよ」

「うん。楽しみ」


それだけで嬉しい気持ちになってミチトとリナは微笑んでしまう。



ここでミチトがふと思い出した。

「あれ?そういえば大鍋亭は営業開始でダイモのお客も来ますしトウテの常連さんも来ますけど皆の今後ってどうなったんですかね?

ニュースターとファイヤーチャリオットはシックさんとアプラクサスさん達にコネクションが出来たから拠点はトウテで王都の依頼を受けるって言っていたけど…」

「それね、なんか皆で考えてるみたいだけど教えてくれないんだよね。なんだろう?ミチトが心配するから内緒とかかな?」


「あ、そうかも知れないですね。じゃあ詮索はやめよう」

そう言ってまたベッドでイチャイチャし始めていた。



1週間はあっという間に過ぎていき、ミチトはヨシに「俺は明日から思い出作りのその後で王都まで行くんです。ヨシさんは魔物の代金を聞きに王都まで行きませんか?」と言う。


顎に手を当てたヨシは「ふむ。ミチト君、日程はどうなってますか?」と聞く。


「え?明日がメロで明後日がライブ、その次がアクィ、イブで最後がリナさんです」

「では5日目の朝に王都まで頼みます。少し予定がありますので5日目の晩は前回同様私達とこの家…、いや、今回はトウテでやりましょう。セルースやスードも参加したいでしょうからね」


何があるかはわからないが拒む理由のないミチトは「はぁ…わかりました」と言った。

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