第7話 マリアベーテル

 もう、本当に私のバカ


 義兄に「嫌い」だなんて言ったらどんなお仕置きされるかわからないのに、


 バカバカバカ、私のバカ


 もう、だから義兄に


 「役立たずの公爵令嬢」


 なんて言われるのよ


 もう、どうしてこうなのかしら


 いつもやる事なす事裏目に出る


 初めてお父様から義兄を紹介された時は、素直にこんな綺麗な兄が出来た事が嬉しかった


 でも、挨拶の時何となく不機嫌だったのよね


 何故かしら?


 その後からちょくちょく意地悪をされるようになって、婚約者を紹介すると一々文句をつける


 そして、今回の婚約者の時は


 「あいつはよせ!今までの奴より最低だ」


 そう言った。私はいつもの口癖だと信じなかったのよね


 だけど実際、その通りだった


 だから、あの時義兄のいう通り浮気していた婚約者を見て、自分の不甲斐なさに悔し涙を流した


 あの涙は悲しいより悔しい方が勝っていたのよ


 結局、義兄の掌で転がされている感が否めない


 納得がいかないわ


 一度位、この俺様な義兄をギャフンと言わせたいのに


 意趣返しに暫く本当の気持ちは言わないわ


 そうよ、今までのお返しをしたってバチは当たらないでしょう


 色々意地悪をされた仕返しに簡単には言わないんだから


 「好きです」


 なんて、余裕で私を見ている貴方に最後の私なりの抵抗よ


 私は貴方を翻弄するんだから


 余裕でいられるのも時間の問題よ

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