第6話 第二王子アーネスト

 俺は、産まれた時から【黒持ち】だから、強い魔力を持っていた。


 垂れ流し状態の魔力のせいで周りに迷惑がかかる


 物心ついた頃には、人と触れあうのが怖かった。


 以前知らない内に誰かを傷つけたから、二度とそうならない様に部屋に閉じ込もっていた。


 ある日、母上のお茶会に参加した令嬢が迷子になっているのを見た。

 

 関わりたくなかったが、仕方なく連れて行ってやった


 彼女と手を繋いだ瞬間、俺の中の魔力が彼女の中を通って循環するように戻って来るのが判る。


 段々ポカポカと身体が温まって、何だか身体が軽くなっていく感覚が俺を支配する。


 気持ちがいい、この子の側は温かくて心地良い。ずうっと一緒にいたい。


 母上のお茶会で名前を呼ばれていた


 「マリアベーテル」


 直ぐに父上と母上に相談した。


 父上達は困った顔をしたが、クラウディア公爵は条件をつけて許してくれた。


 ーーーマリアベーテルが成人するまで、殿下に会った記憶の封印と絶対に秘密を言わない事


 そういう約束を交わし、公爵家に居候する事になった。


 だから言わなかったし、言えない。


 結構意地が悪い約束だと解った頃には、俺とマリアベーテルの間には微妙な壁が出来てしまっていた。


 しかも意地悪い公爵は次から次へと碌でもない男を婚約者に選んで、マリアベーテルが男嫌いになったらどうするんだ!


 本当に困った人だと思った


 だから、俺はこっそり色々仕掛けてマリアベーテルの周りにいる男を排除した。


 マリアベーテルも成人したから、種明かしをしようと準備をしたら、今までの中でも最低なあのバカを婚約者に据えやがった。


 あんなバカを俺の大事なマリアベーテルの婚約者だなんて、本当に娘が大切なのか?


 疑問に思うぞ


 やっと言えるのに、今度は実の親が俺の晴れの舞台を台無しにする


 どいつもこいつも結託して、俺とマリアベーテルの邪魔ばかりする


 お陰で彼女は意地を張り始めたじゃないか


 オーラで俺を「好きだ」と言っているのに口から出た言葉は真逆の「嫌いだ」


 さて、可愛いマリアベーテルにどんなお仕置きをしようかな


 楽しみだ💖

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