第3話 大魔王の復讐計画発動

 未だにご立腹の大魔王事


 アーネスト・クラウディア様は


 「義父上、神聖な行事を不埒な行いで汚した奴等をどう成敗しますか!」


 ピリピリと空気が軋むような音が聴こえた。


 うわー、お母様お気に入りのリビングに罅が入っている。


 後でお母様はきっと泣くだろう。そして、お父様がこれ幸いと抱きよせる。


 今日は、異性と抱き合ってもダメなので、慰めるのはギリギリセーフ。


 そう一緒のベッドで寝てもダメ。


 今日だけは別々に寝ないとダメだから、お父様は何だか嬉しそう。


 不謹慎ね。男って


 「言っておくが俺様はそんなことはしないぞ」


 義兄は私に目線で釘を指してくる。


 いや、貴方は私にそういう感情はないでしょう。


 いつも意地悪しかしない癖に変な拘りはやめて欲しい。


 「で、どうするつもりだ」


 「これを」


 義兄が取り出したのは録画再生機能付きの魔法導具。


 【録るんです】だったかな


 確か謳い文句は『彼と私の一生の記念日を残しましょう』とかで宣伝していた様な気がするんだけど…違った?


 何故、何ゆえ義兄がそんな物を持っているのだろう?


 と言うか持ち歩いているの?


 義兄がポチッとボタンを押すと何故か私の泣き顔のアップが


 恥ずかしい…何これ、隠し撮りなの…


 お父様もお母様も何気に生暖かい目で私を見るのは止めませんか。


 そして、何故、義兄よ!照れてる。


 私の映像を撮ってどうするつもりだったの。


 知りたい様な知りたくない様な。うん、やっぱり見なかった事にしよう。


 後で何されるかわからないから、この間のようにウサギ耳を着けてメイド服着せられて、一日、奴隷の様に命令されては堪らないから


 あの日は大変だった。


 学校の課題が及第点になっていなかったからという理由で、そんな格好をさせられ、一日中矢鱈と『ご主人様』と呼ばせられ、しかもやれ「茶を入れろ」とか「膝枕しろ」最期は昼寝するから「添い寝しろ」と言ってきた。


 もうあんなのは懲り懲りだ。


 後で「茶が不味い」「もっと太れ」「抱き心地が悪い」と散々文句言われた挙げ句、お茶を美味しいく入れる方法やあまり好きでもないお肉を食べなければならない義兄の独特の【お仕置き】が待っていた。


 もう、二度とやるものか。


 兎に角、義兄もそろそろ結婚して欲しい。

 

 私を玩具や私物の様に扱うのは止めて欲しいのに…


 そうこうしている内に問題の場所まで映像が進んでいた。


 これ、偶然撮れたんだよね。


 義兄よ、まさかいつもこんな物を持ち歩いていないよね。


 私を撮って、私にどんな無理難題を吹っ掛けるつもりだったの。


 まだまだ義兄の魔王化は納まってない。

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