第23話 GWの約束(2)
大樹の意思とは、関係なしにGWは、やってきます。やって来ました。
―――――
カーテンの隙間から入る光、自然と意識が戻り始めた。
絵里奈と約束させられた。今日は麗香と、明日は絵里奈。一日空いて、桂さん。
次の日は、もうGW最後の日。こんなはずじゃなかったのに。
時計を見ると八時前だ。そろそろ起きないと。今日は、麗香と高尾山と温泉だ。
伸びをした後、カーテンを開けた。
おう、雲一つない晴れ渡った空だ。今日は、楽しく過ごせそうだ。
外出できる支度をして、階段を降りると、麗香が、キッチンで朝食を用意していた。
「お兄ちゃん。今日は早く起きれたんだ。後で起こしに行こうと思っていたんだけど」
「麗香と高尾山だ。目が覚めるさ」
「ふふっ、嬉しいな」
起きなければ、ベッドに潜り込み作戦しようと思ったのに・・。
「今日は、天気いいから楽しみだね」
「そうだな」
そして、僕達は、坂をひたすら上りながら、残すところ後、三分の一。
「麗香。休もう。そこの休憩所でお蕎麦」
これほど、体力を失っていたとは。自分に呆れつつ、妹に懇願。
「さっき、休んだばかりでしょ」
「しかし」
「さあ、もうちょっと」
「ええ~っ」
そして、展望台。
「もう、足が。帰りは、ゴンドラで」
「ゴンドラはダメ。リフトにしよう」
「えっ、リフト」
スキー場で上るリフトを下りでも利用している奴か。ちょっと怖そうだが。
「分かった」
へへっ、ぴったりくっついて居られるね。
「お兄ちゃん。危ないから、もっとこっち」
ぴったりとくっ付いた。顔もちょっとお兄ちゃんの肩へ。
「麗香、疲れたのか」
「うん、ちょっと」
「そうか」
横から、お兄ちゃんの匂いがする。汗に混じってこのまま寝てしまいそうに気持ちのいい感じ。
「麗香、もうすぐ着くぞ」
「あっ、はい」
温泉気持ちいいな。さっきは、お兄ちゃんの肩で、眠ったふりをして・・。
もう私、十七だよ。胸だってあるし、皮膚だって、こんなにぴちぴち。腰だって締まっているし。お兄ちゃん、ちょっとは、私を女性として見てくれないかな。
あーっ、気持ちいい。さっきは、さすがに疲れたけど、ここの温泉はいいな。高尾山の景色もバッチリ。
麗香の奴、誰か、彼氏とかいないのかな。まあ、受験生だからそんな暇ないだろうし。普段見ていても勉強まっしぐらだからな。
大学受かったら、そっちにも気が回ってくれるといいが。でも、兄としては複雑だな。
さて、ゆっくりとビールでも。
一階の待合を見ても麗香は、いない。女の子は、時間かかるからな。
のんびりしていると、麗香が、温泉から出て来た。白い肌がピンク色に染まった感じでとても綺麗だ。
我が、妹ながら、うん、美人だ。
「お兄ちゃん、何見ているの」
「いや、麗香だけど」
「ちょっとだけ、いやらしい目つきしていたよ」
「えっ、そんなことない。そんなことない」
「ほら、言い訳している」
「いやいや、そんな事よりご飯食べよ。どれ選んでもいいよ」
「うん」
帰りの電車の中で、麗香はずっと僕の肩に寄りかかって寝ていた。
横目で見ると、嬉しそうな顔して、目を閉じている。良い匂いがする。親が帰ってくるまでは、僕が親代わりだ。しっかりしないと。
明大前、下高井戸、三軒茶屋と乗り継いで自宅へ戻った。
「お兄ちゃん、今日はありがとう。とても楽しかった。これで勉強もっと頑張れる」
「無理しないようにな」
「うん」
今日は、幸せいっぱいだ。このまま、寝ようかな。明日からがんばろう。そう言えば、明日は、絵里奈さんと出かけるとか言っていた。
絵里奈さんが、お兄ちゃんへの態度が変わったのは、絵里奈さんと一緒に遅く帰って来た時。多分・・。だよね・・。疑う余地はないか。
嬉しいけど、寂しいな。お兄ちゃんを絵里奈さんに取られてしまうみたい。
私、どうすればいいんだろう。最後は、絵里奈さんでも・・・。
今、来ているのは、お兄ちゃんに選んで貰ったネグリジェ。ブラは付けていない。寝室行ってもいいかな。甘え次いでという事もあるし。
コンコン。
「入っていい」
「いいよ」
ドアを開けると、ベッドで携帯を見ていた。
「どうしたんだ。今日は、疲れたから、もう寝ていると思っていたけど」
「・・・」
じっと僕を見て来る。どうしたんだろう。
いきなりベッドの横の隙間に座り込んできた。
「お兄ちゃん。GW入る前言っていたよね。私が家事いっぱいしているから、今日はそのお礼だと」
「言ったけど」
「でね、今日の最後のお願いがあるの・・・。お兄ちゃんと一緒に寝たい」
「・・・」
「今日着てるいもの、全部お兄ちゃんが選んでくれた奴だよ。ネグリジェも。下着も。見せてもいいよ」
「・・麗香。どうしたんだ。何かあったのか」
「ううん。何もない。ただ、小さい時、お兄ちゃんと一緒に添い寝したこと思い出して、
その・・。今日もしたいかなって」
顔を赤くしながら言ってくる。
「・・・」
「どうしても?」
「どうしても!」
お兄ちゃんが、ベッドの奥を開けてくれた。
「麗香が落ちるといけないから、壁の方に入りなさい」
「うん、ありがとう」
お兄ちゃんが、背中を私の方に向けて、
「じゃあ、寝ようか」
消灯した。
麗香が、ぺったりと背中にくっ付いてくる。とても柔らかい、そのままの感触。
寝れない。
体を意識してくっつけた。胸をぺったりと、腰も足もぺったりと。
「お兄ちゃん、起きている」
「・・・」
「こっちに向いて」
ただ頭を横に振る。とても無理。いくら妹でも、生理的自然の摂理には、勝てない。
とても、とても。兄としての威厳を保つためにも。
麗香が、手を回してきた。小さい頃から、一緒に寝ているとペタペタと触って来た。同じ事しているのか。
僕のお腹辺りを触っている。その手がゆっくりと下に・・。
さすがに手を握って止めた。
「麗香。いたずらはだめだよ。小さい頃は、気にならなかったけど。このまま寝よう。」
私は、手をお兄ちゃんのお腹に戻した。
「お兄ちゃん、好きだよ」
「俺もだ。大切な妹だ」
違うのに・・。
「もう寝よう」
「うん」
―――――
今日は、大樹君。ご苦労様。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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