第16話 幼馴染とデート


大樹君、久々に絵里奈(幼馴染)とのデートです。でも・・


済みません。ちょっと短いです。


―――――


四月になった。まだ少し寒いが、大分過ごしやすくなってきた。

両親がニューヨークに赴任して一年。妹の麗香も高校三年になり、いよいよ本格的な受験シーズンに入る。

 僕は推薦だったので、十月には終わったけど。


 緑川さんは、あの時以来、何度か会ったが、無理なことを言わなくなったので、気が楽になった。大学時代のトラウマだったのかもしれない。あの事が。だから・・。吹っ切れたのかな。

このことは、絵里奈には内緒。あの世に持っていく秘密にしよう。


 今日は、絵里奈のいつもの我がままに付き合う。いつもは、僕の家に来て、待っているが、今日は、迎えに来てくれと言われた。


道路の反対側にある家に行き、インターフォンをならす。返事もなく玄関のドアが開いた。

「いらっしゃい。大樹君。さあ、入って」

「失礼します」

玄関を上がろうとした時、リビングから絵里奈が、顔を出した。

「大樹遅い」


えっ、時計を見ると五分前。

「時間通りだよ」

「ダメ、三〇分前には来て、私を待っているの。お話も出来るでしょ」


珍しい。いつもはこんな事言わない。本人は、遅刻専門なのに。

「・・・」


「まあ、いいわ。こっちに来て」


言われたままにリビングに入ると


ポンポンと自分の座っているソファの隣を叩いている。座れと言う事だろう。


「今日は、出かけるんだろう」

「もちろん、出かけるよ。でも少しくらい話もしよう」

「それはいいけど」


いつもの我がままかな、でもちょっと違う。


「いらっしゃい。大樹君。紅茶を淹れたわ。二人で飲んで」

ティーポットとカップを置いていくと、リビングを出て行った。


絵里奈が、ティーポットからカップに注いでくれた。自分もカップを取るのかと思ったら、取らずにゆっくりと僕の方に体を預けて来る。

 とても良い匂いがする。ゆっくりと僕の腕に寄り添った。


「絵里奈・・」

「少しだけ、こうさせて」


僕の手をゆっくりと触ってくる。


どうしたんだろう。この前、いきなりキスをして告白して来た。それを受け入れたから、こうしているのも不思議ではないけれど。何かいつもと違う。


「こうしていると安心する。大樹が側にいるって分かるから」

「・・・」


どうしたんだろう絵里奈。


体に寄りかかっていた絵里奈が、少し顔を上げて、僕の顔をじっと見つめている。

更に密着させて来ると手を僕の体に回した。そして目を閉じる。


えーっ、なんで~。どうしたの。


もう一度目を開けるとまた閉じた。

絵里奈の唇にゆっくりと近づいて・・。柔らかさを感じた。背中に手を回して、今度はしっかりと唇を合わせる。柔らかかった。

 絵里奈が強く抱き着いて来た。今度は、僕の胸に別の柔らかい物が強く押し付けられた。

だめ、それ以上すると理性が・・。

 何となく、右手を絵里奈の胸の下に優しく当てた。一瞬、ぴくッとした後、唇を離して小さく

「ここではだめ」


唇を離しても体を放さない


少し、時間が経った。


ゆっくりと体を放すと

「ふふっ、落ち着いたわ。ありがとう。さっ出かけましょうか」


えっ、まるでいつもの絵里奈に戻った。


「何しているの大樹、出かけるわよ」

「あっ、うん」


絵里奈は、今までの事が全くなかったかの様に、リビングを出て、玄関に向かった。


「お母さん行ってきます」


玄関に出て来たお母さんが、

「いってらっしゃい。絵里奈。大樹君娘を宜しく」

「はい」


ふふっ、孫を見れるのもそう遠くはないわね。リビングに残された紅茶のセットを片付けながら微笑んだ。



――――


絵里奈のお母さん。それはまだ早いかも・・・。


面白そうとか次も読みたいなと思いましたらぜひ★★★頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。


お願いします。

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