第8話 絵里奈の誕生日


絵里奈さんの誕生日パーティです。

絵里奈さん、大樹のお花に大感激です。


―――――

 絵里奈の誕生日の夕方、三橋家の玄関の側にあるインターフォンで、僕と麗香が来たことを告げると


「いらっしゃい。大樹君、麗香ちゃん」

 絵里奈が出てくると思ったら、絵里奈のお母さんだった。とても綺麗なお母さんだ。

「さっ、上がって、上がって」


大きく開いた玄関のドアから、家の中に入ると、玄関に素敵な白のワンピースを着た絵里奈が立っていた。


・・やっぱり絵里奈は綺麗だ。


「大樹、麗香ちゃん、来てくれてありがとう」

「絵里奈、とても綺麗だよ」

「絵里奈さん、素敵です」

「ふふっ、二人とありがとう」

三人で玄関に居るとお母さんが、


「三人で玄関に居ないで、絵里奈、お二人をリビングにお通しして」

「はぁい」


「あっ、絵里奈、その前にお花。お誕生日おめでとう」

「ありがとう」


えっ、赤い薔薇と白い薔薇。大樹。私に花で告白・・

自分の顔が、急に顔が赤くなってくるのが分かった。


「素敵なお花、よかったじゃない。それにしても赤い薔薇と白い薔薇。朝からお洋服に悩んでいた甲斐があったわね。絵里奈」


赤くなった絵里奈とお母さんの言葉に

うん、何かしたかな。分からない顔をしていると


「お兄ちゃん、花言葉。赤い薔薇は、あなたを愛します。白い薔薇は、私はあなたに相応しい人ですという意味だよ。私、お兄ちゃんが、それ絵里奈さんに贈るって言うから、心を決めたのかと思ったよ」


えっ、今度は自分が赤い顔して固まった。


「大樹ありがとう」

絵里奈が、本当に嬉しい顔をして、僕を見てきている。


「えっと、あ、うん、良かったかな」


「もちろん。もちろんだよ。大樹。嬉しい」


玄関でのひと騒動?の後、三人でリビングに入った。

絵里奈が、「花瓶に差してくる」と言って出ていくと


「お兄ちゃん、大胆だね。中々素敵な告白だよ」


ふふっ、と笑いながら話す麗香に小さな声で

「そんなつもりじゃあ、花屋の人が最初赤い薔薇を勧めてくれたので、色バランスで白い薔薇も追加してもらっただけなんだけど」

「もう遅いよ。絵里奈さん、完全に告白だと思っている。絵里奈さんのお母さんもね」


不味い。どうしよう・・・。


大樹から赤い薔薇と白い薔薇貰った。口では言えないから、花言葉で言うなんて、大樹にしては、いや大樹らしいか。これで私も、ふふっ、少し甘えてもいいかな。せっかく、告白されたのだから。

嬉しいな・・



言い訳が見つからないままにパーティが始まった。


二つの三人座りのソファの間に透明なガラスで出来た大きなテーブルがある。そこの中心にケーキがおかれ、周りには、オードブルが置かれていた。アルコールはシャンパンとジンジャーエール。

バースディソングを皆で歌い終わると絵里奈がケーキの上に刺さっている少し大きめのローソク二本と小さめのローソク三本を一息で消した。


「「「「絵里奈、お誕生日おめでとう」」」」

「ありがとう、お父さん、お母さん、大樹、麗香ちゃん」


嬉しそうな顔がほんのり赤くなっている。


誕生日プレゼントは、ご両親、僕、麗香の順で渡した。

いつのアクセサリだが、今年はいつになく喜んでいる。いつもと同じ感じなんだけど・・


食事が始まり、シャンパンが抜かれる。スパークリングワインじゃなく、フランスシャンパーニュ地方の本物のワイン、ヴーヴクリコのイエローラベル。絵里奈が好きなやつ。ヴーヴクリコの名前の由来は置いといてと・・・。

食事が進んでいくと


「絵里奈、大樹さんとは、どんな感じなの、何処まで進んでいるの」


一瞬、吹き出しそうになったのを口の中で何とか、止めた。


「お母さん、いきなりね。大樹が困っている」

「いいじゃない。素敵なお花貰って絵里奈も花瓶に差しながら嬉しそうにしていたじゃない」

アルコールが入っているせいか、口が軽やかだ。


絵里奈の顔をじっと見ると少し赤くなった顔をしている。絵里奈は、この位で顔赤くならないから恥ずかしいのかな、なんて思っていると


「まだ、何も進んでいません」

「でもこの前、家の前で、二人で抱擁していたでしょ」

「あっ、あれは、・・」


ここは、助け舟を出すべきか。


「お母さん、あれは、ちょっと絵里奈が、躓いたところを僕が支えただけです。二人共お酒が入っていたので動きが緩慢になっていたのを見られたんだと思います」

「そうなの?」

「そっ、そうよ。緩慢、緩慢」


なんか、それでは・・・


「まあ、いいわ。大樹君、期待しているわよ。母親が言うのもなんだけど、娘は、器量よし、スタイルよし、頭も良いから、貰って損ないから」

「お母さん言い過ぎ」

「あらあら」


言葉とは裏腹に嬉しそうな顔をしている。僕は中途半端な期待を付けてしまったようだ。

絵里奈の事は好きで大切にしたいと思っているけど、幼馴染だし、恋愛感情までは・・・。


妹が何か言いたそうに僕の顔を見ている。


食事後、ご両親は、リビングから出て、ダイニングで話しているようだ。

麗香は、勉強があると言って先に帰った。家は、道路の反対側だから問題ないだろう。


二人にさせられている。紅茶を飲みながら。


「大樹、そういえば、海にいつ連れて行ってくれるの。二月初めはいいと言っていたわよね」

よく覚えているな・・。やっぱり絵里奈頭いい。


「そうだね。南房総の方は、二月初めには、花が満開になると聞いている」

「南房総。遠くない」

千葉県の南の方だったと思うのだけど・・


「今は、高速が伸びているから、池尻JCから東京湾アクアラインで館山道に入ればすぐだよ」

不思議そうな顔をしながら

「分からない。大樹に任せる。いつ連れて行ってくれる」

「うーん、プロジェクトで外部設計が今月始まったばかりだから、早めがいいかな。忙しくなると土日も出勤の時があるって先輩から聞いているし。天気次第だけど二月の第一週にしようか」


日付をはっきり言ったせいか、目を輝かせて

「うん、いいわ。空ける。絶対空けておくから」


なんか、素直だな。花束のせいかな・・。



――――

大樹と絵里奈の関係。進んだのか進んでいないのか?


私にも分かりません。

面白そうとか次も読みたいなと思いましたらぜひ★★★頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘もお待ちしております。


お願いします。

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