第4話 レイザーバックの死闘2

俺の中隊、通称「レイザーバック」は現在約40人。各装甲車に一小隊、10人が搭乗している。


本来中隊は60人編成で、各装甲車には小隊支援のための一台づつ人型多目的装甲兵器、通称「センチュリオン」が与えられている。


この「センチュリオン」は一人乗りの全長3メートルほどの、いわゆる「パワードスーツ」で俺たちⓇと戦う最前線の兵士たちにとっては、まさに守護神とも呼べる頼もしい相棒だが、こいつもつねに定数不足で、本来1中隊には6台配備されるのだが、現在我が隊には4台しか配備されておらず、そのうちレイザーバック2の1台は使用不能という悲惨な状態だ。


もう二か月も前から大隊本部に補充を要請してるが、完全に忘れられているようだ。


まあいい。どうせ俺たち「ウオーヘッド」は消耗品だ。




「そろそろ、市街地跡に入るぞ、派手な音をたてるなよ」


俺はマックに改めて確認した。


「了解、中隊長殿」


マックは、ニヤリと笑いそう答えた、次の瞬間、いきなり現れた「不眠症」のⓇが前方の道路を横切り、装甲車の前方に設置されている「ヘッジホック」(ブルトーザーのシャベルにのようなも)ので身体を真っ二つに切り裂いた。人間とは違うⓇ特有の甲高い絶叫とともに、上半身がボンネットに転がり、血しぶきと内臓で窓が真っ赤に染まった。


「くそ、今日は俺たちは運に見放されているな」


俺は吐き捨てるようにそういうと無線機を手に取った。


「全車、各員に告ぐ。不眠症のⓇを一匹ひき殺した。連中襲ってくるぞ、全員警戒を厳にしろ」


頭上の機銃座のサラが大声で叫ぶ。


「くるよ、Ⓡの大群が。前方、距離700メートル。数は約300匹」


300匹もどこに隠れていやがった。まったく、ドローンの索敵もアテにはならない。


「全員各個に射撃用意、いいか無駄弾撃つなよ。良く狙え」


俺はインカムを通して中隊各員に命令を伝えた。


「距離600、500、Ⓡの糞ども全速力で接近中」


サラの声がインカムに響く。


Ⓡの脚力は野生動物なみで、物凄いスピードで迫つてくる。


装甲車内の銃眼から銃口を出して、俺たち「ウオーヘッド」の標準装備Rk95アサルトライフルを全員が構える。俺もホルスターからⅯ45ハンドガンを取り出し、戦闘に備える。


「センチュリオン」起動させてる時間はない。


Ⓡの大群は俺たちのキャラバンを取り囲むように、しだいに距離を詰めてくる。


サラがⅯ2011型50口径重機関銃のボルトを引いて、チャンバーに実弾を挿入した。サラの髪が風になびく。


そして、彼女はいつものように威勢のいい声で叫んだ。


「さあ、てめーら、パーテイーの時間だ。ロックンロールできめようぜ」




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