最終話

目覚めると、そこは…

あの私たちをタイムスリップさせた、忌々しいカプセルの中だった。

帰ってきたんだ…

ホッとして、泣きそうになってしまう。

その時、

ウィーン

カプセルが、空いた、

私は、21世紀の地面に、触れる。

「明!」

近くで、聞き覚えのある声が聞こえる。

「柊真…」

その時、私の涙腺は大崩壊。

「柊真ぁ…」

私は、柊真の肩に目元を押し付ける。

「ちょっ……ん。」

柊真も慌てているようだったけど、諦めたみたい。

だって、怖かったのだ。

もちろん、楽しかったこともあった。

でも、怖いこともあった。

元の時代に戻れないのではないか。

家に帰れないのではないか。

お父さんとお母さんに会えないのではないか。

そして…柊真に会えないのではないか。

色々な恐怖と、不安。

それが、帰って来れたことで一気に吹っ飛んで、涙が止まらないぃ…。


しばらくして泣き止んだ時、やっと周りを見渡して、ハッとする。

「こここ小雪さん!」

「あー!おトキ!やっと気づいたか!」

「ひゃっ…。お、お恥ずかしい…。」

「あ、ごめん、傷ついた…?」

「だ、大丈夫です。」

「てか、お前っておトキって呼ばれてんだな。」

「…あ、そっか。おトキって、椿さんが勝手につけた名前だったんだ。んで、本名は?」

「明です。」

「ああ、明ちゃんっていうの。」

「小雪さんは…本名、ですよね。」

「え、私、美沙だよ。」

「え、全然違うじゃないですか!」

「あの…、俺たちの自己紹介がまだなんだが。」

「あ、そうか。こいつは柊真。無愛想でなーぜかツッコミが鋭い。」

「えっとね、この男子は和。気弱。」

「「勝手に雑な紹介するな!」」

「あはは、兄弟みたい。」

「ホントに兄弟だったんだよ、美沙。」

「「え!」」

「思い出話は後にしてくれないかな?」

入ってきたのは、あの博士。

「「「「お前ぇ〜(怒)」」」」

騙されて江戸に連れて行かれた私たち四人の語尾に怒りが滲む。

「まあまあ、そう怒らない。」

そう博士の後ろからひょこっと現れたのは…。

「「椿さん⁉︎」」

「おお、元気そうでなにより。」

「なんで⁉︎」

「母さん、なんでいるんだよ⁉︎」

和さんが言う…って、母さん⁉︎

「え、和のお母さんだったの⁉︎」

「いえーい!驚いた?」

「和君のお母さんには、江戸にタイムスリップしてもらって、江戸の人として女子二人のサポートをお願いしたんだよ。」

「だって、面白そうでしょ、タイムスリップとか。」

椿さんって、軽いのね。

「あと蔦さんもだぞ。あの人は元々江戸の人なんだが、私が協力を頼んだのだ。関所破りの手伝いをな。あの人は頼れる人じゃ。そういう人を見つけたわしもすごいじゃろ。」

「え?おじいちゃん、自慢げにいうけど、蔦は最後裏切って関所破り密告したよ?」

「ええっ!」

「おじいちゃん…」

辺りに笑い声が響く。

うん、博士は最後恥かいたし、許す。(何様だ?)


そして、数ヶ月後。

気づくと、見慣れたカプセルの中だった。

ハッ。

まさか。

「やっと気づいたかな。明、柊真、和、美沙。今度は、平安時代に行ってもらうぞ。」

「「「「え、また⁉︎」」」」

言いながら私はちょっと笑ってしまう。

まだ、みんなとの付き合いは長くなりそう。


         





きなこもちです(^^)/

『タイムスリップ型脱出ゲームへようこそ』は面白かったですか?

次回、番外編です。

そちらもぜひ、読んでみてください!

ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました!

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