第8話
「はあっ⁉︎俺たちが放火?そんなことあるわけないでしょう⁉︎」
「でも、前に城で放火があったでしょ?で、僕たちが放火したところを見たって人がいるんだって。」
「はあっ⁉︎見間違えたんですよ!」
「もしくは僕たちに罪をなすりつけたか。」
「くう…」
「ここでジタバタしててもしかたない。無実になることを祈るしかない。」
しかし、その願いは届かなかった。
火災の多い江戸時代、放火は重罪。
俺たちは12歳と14歳。死罪は免れたものの、遠島となった。
島流しの後は、帰ることは絶望的だろう。
それまでにあいつが来てくれることを願う。
タイムリミットは、あと50日。
「島流しになったら、帰るの絶望的だよね…」
小雪さんがため息混じりに言う。
「そうですね…」
絶望的な気持ちで私も言う。
「でも、いいこともあったじゃないか。相手の二人がどこにいるか分かったんだろ?」
確かにそう考えると、時間内に会えればいいのか。心がちょっぴり軽くなる。
「…明日には、ここ出よっか。時間ないし。」
「えっ。」
「あたしはいいよ。あたしなんかに義理感じることなんてない。」
「…はい。」
次の日。
私たちは荷物をまとめ、長屋を出た。
「「ありがとうございました」」
「いや、私は何もしてないよ。…でも、気をつけて。」
「椿さんも、お気をつけて。この恩は忘れません。」
そう言って、私たちは旅立った。
「ふう」
二人を見送った後、私は電話をかける。つくづくこれがどういう仕組みになっているのかと思う。
「博士、女子2人は行きました。」
「お疲れ様。じゃあ、帰ってきて。」
私は電話を切ると、手元のボタンを押した。
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