第3話
「申し訳ございませんでしたぁっ!」
私の前にはちょこんとした土下座。
慌てる私。
何でこんなことになったんだろう!
ああ、あれは数分前のこと。時間を巻き戻そう。
キャレロキャレロキャレロ……(テープを巻き戻す音)
「「ひい、ひい、はあ、はあ。」」
建物に連れてこられた私は、女の子と共に倒れこむ。
ここは確か、長屋っていうんじゃなかったけ。
「ふうう~。ンで、何だっけ?」
女の子が言う。てか、そこ、肝心なトコ!
「二十一世紀から私が来たのか問題について、です。」
「あ、そうそう。それだった。」
「ていうか、あなたは何者?……ですか。」
「あ、そっからか。あたしは小雪。中三の、『タイ脱』のモニターでぃす!」
「えぇ~~……ってそうですよね。」
てかさっき『タイ脱』のモニターかって聞いたときに「しぃ―――!」って言ってましたもんね。
「あなたはどうして『タイ脱』のモニターになったの?」
そう小雪さんに聞かれて、私は一部始終を話す。
その話を聞いた後、小雪さんは頭を押さえて床に倒れこむ。
ん?
「ごめんね。」
「へい?」
「その博士、私の祖父なの。」
「はい!?」
「私の祖父が、騙して、こんな目に合わせちゃって、ごめんね。」
「や、いや、そんな……」
「家族を代表してお詫び申し上げます。申し訳ございませんでしたあっ!」
あわあわ。
「や、顔をあげてください!小雪さんのせいではないです!」
しかし、顔をあげる様子はゼロ。
その時、救世主の出現。
「小雪ただいま~……ん?この子、誰?」
女の人が入ってきたことによって、小雪さんは顔をあげた、ほっ。
「あ、この子はね、私と同じで未来から来た子。……この人はね、椿さん。彼女は、私が未来から来たってことを信じてくれて、居候させてもらってるの。」
おお、世の中にはすごい人もいるもんですね。
「彼女も、ここにいるの?」
「そうするしかないですかね。行く当てのないでしょうし。」
「ちょうどこの子の大きさくらいの着物があるよ。黒地に朱鷺の柄だから、こっちでの名前は『おトキ』にしようか。」
「あ、それいいですね!」
「え、あの、私抜きで話が進んじゃってますけど……」
「あ、いやだった?」
「い、いえ、お願いします。ホントに。」
「やだ、からかっただけだよ。」
「も~」
部屋の中に笑い声があふれる。
心の中で想う。
――柊真へ
こっちは楽しくやっていけそうです。
そちらは、どうですか。
明より――
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