第5話 妹の容態

「ディリスさん」

「は、はい! エリーゼは、エリーゼは無事なんですか!?」


 近寄ってきた医者に飛びかかる勢いで、ディリスは尋ねた。


「大変申し上げにくいのですが……エリーゼさんはもって一週間というところでしょう。今も懸命に最上級の治癒魔法を掛けていますが、改善する様子が全く見られません……」

「そ、そんな……」


 返ってきたのは、この世で最も聞きたくない宣告だった。

 ディリスはたまらず、膝から崩れ落ちる。


「それで……先日お渡しした文献の復元はいかがでしたか? 可能性があるとすればそれしか――」

「あっ! そうだった! 実はブレイジングメアの角がそうらしいんです!」

「そうでしたか。ブレイジングメアが現れるのは満月の日。ということは、三日後に出現するはずです。それを入手さえできれば可能性はあります。私たちも可能な限り、治癒魔法を掛け続けますので、ディリスさんは何としてでもそれを」

「はい! どうか、どうかエリーゼのことをお願いします!」


 ディリスは深々と頭を下げ、病院を後にした。

 そうして帰宅したディリスは、朝一番にギルドへ向かうため、無理やり身体を休めたのであった。

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