四十五の城
相変わらずの
ちなみに天下普請で作られたお城で有名なのは名古屋城と大阪城みたい。
名古屋城は大阪の陣で世の中が不穏になる中、西国の大名を中心にお城が作られたらしい。
「九州や中国地方には親豊臣方だったり豊臣家に恩を受けた大名が多かったのよ。だから西の地方の大名に徳川家の城を作らせて幕府への忠誠心を確認するのと同時に多大にお金を負担させて国力を弱らせたのよ。名古屋城はそのためのお城づくりだったのよ。そうやって作った
「なんだかひどい話ですね。」
私の中での徳川一族の印象はかなり低下していた。
無理やり子供を押し付けたりお城を作ることを強要して子供にお城を与えたりなんだか無茶苦茶な一族だ!
私の中の
「でもな、当時はもう完全に豊臣対徳川で2大勢力の争いになってて、互いに食うか食われるかの状況やったんや。武士道精神って言えば卑怯なことをせずに正々堂々と戦う精神だったりがよく言われるけど、実際は生き残ったほうが正義で、上のものが情けなければ下のものが上のものを裏切ってでものし上がろうとする
そう言って後頭部で手を組んで
「それに徳川家康はそう言う政治術や謀略を秀吉の近くで見続けたことで勉強したようなもんやから・・・ま、お互い様ちゃうかな!」
訪ちゃんはカラッと笑った。
私はそんな訪ちゃんの言葉を聞いてそうかもなって思うと怒りは自然になくなっていた。
虎口先輩は訪ちゃんの言葉に頷いて
「
戦う以上は全力で手を抜かない。
それがどんな汚い謀略だろうと相手の力を理解して全力で潰しに行く。
私は武士道のことは良く分からないけどそう言われると何故かストンと落ちるものがあった。
「恐ろしい世界だけど、でも徳川のほうが豊臣に油断せず対応していたんですね。平和な時代じゃないですもんね・・・」
「そう、豊臣家は徳川家康の孫をお嫁さんにしていたの。つまり、秀吉の子供の秀頼は家康の孫のお婿さんなの、だから豊臣家は家康に甘えていた部分も多かったわ。だから、全力で戦うという観点ではむしろ血縁に甘えていた豊臣家はその土俵にも立っていなかったの。これでは潰されても当然だわ。」
虎口先輩は首を横に振って残念がった。
関西の人って全員が豊臣さんを好きだと思っていたから先輩はともかく訪ちゃんが徳川さんを否定しない事はなんだか違和感のようなものを感じた。
「訪ちゃんは関西の人なのに公平なんだね。」
すると訪ちゃんは
「大阪の人の殆どが豊臣秀吉をひたすら好きやと思ってる人が多いけど、多分大阪でも大抵の人は信長も秀吉も家康も愛知の人って思ってると思うで。」
そう言って笑った。
そっか、愛知の人か・・・三人の英雄は大阪の人から見ても大阪の英雄じゃなくて日本の英雄なんだね。
どっちが好きか嫌いかなんてあんまりないんだ。
そう思うとイメージなんて所詮は見も知らない人がイメージだけで作っているものなんだなあと感じていた。
「まあ話は長なったけど、ともかく明石城は徳川幕府が主導で作った天下普請のお城やったわけや。」
訪ちゃんはそう言って脱線した話を上手くもとに戻してくれた。
「なんとなく理解できたかも。でも小笠原さんは徳川さんとはあまり関係性はない人だったんだよね。そんなに信頼されていたの?」
「確か、家康の親戚やったはずやけど・・・」
訪ちゃんもそこまで詳しいわけではなく口ごもる。
「小笠原忠真は家康の孫娘の婿なのよ。孫娘のお父さんは本田忠政って言う家康の近臣中の近臣で、そんな人達と親戚になれるということは信頼されていたことが分かるわね。」
歴史全般の話になるとやっぱり虎口先輩のほうが知識は上のようだった。
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