四十の城
石垣石には3つも種類がある。
「城を実質2つしか見たことのないわけやから、切り込み接ぎと打ち込み接ぎの城しか見たこと無いことになるな。
安土城ってどこにあるんだろう?
「安土城、良いわね。あそこは天守台に登ると
琵琶湖って、滋賀県か・・・
しかもこの近辺だって言うから部活でいつか行けるかもしれない。
琵琶湖見たこと無いから見てみたいなぁ。
私は漠然とそう考える。
「安土城行ってみたいです。琵琶湖・・・見たことないですし。」
私は人差し指で
「琵琶湖
と言って安土城に行った時の記憶を思い浮かべているのかなにかを想像しながら私に反応してくれた。
先輩は訪ちゃんに
「そうね、いつか行きたいわね。だけど私は安土城に行く前に石垣に興味を持ってくれた
どうやら私に見せたいお城があるらしい。
先輩は部の部長らしくお城のことを学べるかどうかも考えて行く場所を選んでいるらしい。
「私今度先生に頼んでみようかと思うのだけど、夏休みに合宿で岡山に行くことを提案したいの。」
岡山・・・岡山って桃太郎の岡山だよね。
岡山にも合宿で行くほど沢山のお城があるのか?
しかし琵琶湖はともかく岡山ってあんまりピンと来ないような気がする。
後、行けばきっと私はきびだんごを買って帰ってしまうんだろうなあ。
そんな想像をしてしまっていた。
「岡山城か、うちは行ったこと無いけど、確かあそこは石垣が野面積み、打ち込み接ぎ、切り込み接ぎ3つが揃った石垣が見れるらしいな」
訪ちゃんは岡山城に興味有りげだ。
「その通りよ、特に本丸中段はその三種類の全てが横一線に並んでいる希少な石垣があるから、興味がある人は必見だと思うわ。他にも現存十二天守の
松本城のことは知らないけど、先輩は去年長野に行ったのか羨ましい。
訪ちゃんも先輩が松本城に行ったことを知ると途端に声を大きくして羨ましがった。
「えー!確かに去年うちが高校受験の勉強に打ち込んで家から出られへんかった時にあゆみ姉、合宿に行ったとか言うとったけど、それって松本城やったんか!」
そう言って悔しそうに手をワナワナと震わせた。
松本城ってそんなにすごい城なのか?
良く分からないけど訪ちゃんが打ち震えるくらいに人気のある城なのは間違い無さそうだ。
姫路城とどっちが良いのかな?
「
先輩は訪ちゃんがあまりにも悔しそうにしているので宥めるが、訪ちゃんはあまりにも羨ましいのか
「あんまりや、松本城がどんなんか雰囲気くらい教えてくれても良かったのに、今の今までいわんやなんて。」
そう言って
「あなたがそうやって羨ましがるのが分かっていたから言わなかったのよ。今年は私が岡山と香川のセットの合宿を先生に
虎口先輩は訪ちゃんがあまりにも悔しがるものだから
だけど訪ちゃんはなんだか松本城への未練は捨てきれないようだ。
「そんなん、松本城の黒い
そう叶いもしないわがままを言いだした。
先輩は本当に困った顔をして
「岡山城の天守も黒いじゃない、それに現存と言うなら丸亀城も備中松山城も希少価値の高い天守よ。石垣も両城郭は一見の価値のあるものだわ。」
そう言って訪ちゃんを抑えようとしたが訪ちゃんには効いていないようで
「岡山城の天守は復元天守やんか。確かに丸亀城も備中松山城も行っては見たい城ではあるけど、松本城は現存十二天守の中でも、日本の城郭の中でも常に人気上位の一生に一度は行っとかなあかんお城やで。それを女子高生の間に行ってしまうなんて・・・」
と遂にテンションを大きく下げてしょぼんとしてしまった。
「もう・・・だから今まで隠していたのよ・・・」
先輩は額に手を当ててため息を付いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます