第11話 愛央の本当の想いは?

私、琴乃愛央ことのあお。15歳!

お兄ちゃんの琴乃匠ことのたくみがいる双子の妹です♪そんなお兄ちゃんのたっくんは、バイトに部活にYouTube、更には小説を書くなど忙しい日々を送っていてね、愛央は心配なの。愛央の特技はチアリーディング。ポンポンを振って応援するんだ!フレ!フレ!わたしっ!ってみたいな感じでねっ♪それからアームモーションっていって、応援する時に使うポーズがあるんだけれど、それは一通りできるの。でも愛央、人見知りでね。たっくんの前じゃない限り踊れないの。愛央は昔からたっくんの背中を見て育ってきて、たっくんに色々助けてもらった。わたし、たっくんに恩返し出来ていないの。そこで愛央の妹、あいちゃんこと琴乃愛華ことのあいかちゃんが生まれて、愛央はあいちゃんの実質的ママとして、今はお世話しているんだ。


ある日、愛央が朝髪を結んでいる時に、あいちゃんが泣き出してしまったの。いつもなら愛央があやすのだけど、今日のあいちゃんの泣き方は違っていて、愛央困ってしまったの。それでたっくんに相談したんだ。


あお「たっくーん」

たく「あじしたぁ?」

あお「あいちゃんが泣き止まないの」

たく「そら愛央ひとりじゃおいねぇなぁ」

あお「どうしたらいいの?」

たく「待ってて」


たっくんはこうやって言うと、部屋に入っていったの。5秒しないうちに、あいちゃんが泣き止んでね、たっくんにだっこされて部屋から出てきた。

愛央は正直、早いって思っていたの。


たく「よしよし大丈夫」

あお「たっくん、ありがとう」

たく「いいよいいよ。あんかな、保育園に行きたくなかったんだって」

あお「保育園に行きたくなかったの?あいちゃんが?」

たく「珍しいよな。朝起きてぐずって愛央が髪結んでいた時に泣いてしまったとかな」


たっくんはあいちゃんを泣き止ますのが上手いんだけど、愛央はまたたっくんに助けてもらったの。ありがたかったんだけど、愛央の悩みはね、たっくんに負担をかけていないかどうか。ってこと。たっくんは朝ごはんを作ったり、バイトに行って仕事をしたり。愛央が助けられて、助けたことは無かったかもしれないの。大丈夫かなぁ。たっくん。



今日は土曜日。たっくんは朝からバイトに行ってた。愛央はあいちゃんのおままごとのお手伝いをしているんだけど、あいちゃんがぐずり出してしまったんだ。時刻は昼の12時。お昼時とはいえ、たっくんが帰ってくるのは1時間後。ポンポンを振って泣き止ませた方がいいのかなって思っていた時、


あい「うわぁぁぁぁぁん!!!びええええええん!!!」


泣いちゃった。わたしは不安になっていたんだけど、たっくんに以前頼っちゃった時、こういってた気がするの。


たく「俺がもしバイトでいなくても、愛央はポンポンを振らなくて大丈夫。あいちゃんは今、反抗期って言ってあれは嫌とかこれはおいねぇって言い出す時期でずっとグズグズ泣いてしまう時期に入ったんよ。愛央が1人であいちゃんが泣いてしまった時はまずだっこしてあげて。そして、愛央の心臓の音を聞かせてあげると、落ち着くから」


こんなことをたっくんが言ったの。あたし、それを思い出してあいちゃんを抱いたんだ。


あお「大丈夫、大丈夫!怖いものがあったの?お腹がすいた?にーにーもうすぐ帰ってくるから、ちょっと待とうね!」


これでいいのかな?わたしは不安になっていたの。

1時間後、またぐすってしまったあいちゃんをどうしようかと思っていて矢先に、たっくんから電話が来たの。


たく「愛央、バイト終わったよ」

あお「お疲れ様!ねぇたっくん」

たく「あじした。またあいちゃんグズり出した?」

あお「うん。1回は泣き止ませたけど、またぐずっちゃって。もう泣きだしそうだよ」

たく「んーじゃあさ、あいちゃんに俺の声聞かせるか」

あお「うん!」


あい「ひっく、ひっく、うっ、ひっく」

たく「あいちゃーん、にーにだよ。ごめんね、早く帰るから、もうちょっとまっててね。あと5分で着くから。そんなにかからないよ」

あい「うん。あいたん、待ってる」

あお「たっくん、やっぱりすごい」


愛央にとって、たっくんにはまだまだ叶わないと思ったの。少しして、たっくんが帰ってきたから、あいちゃんは大喜びしてぷかぷか飛んでたっくんのところへ行った。愛央もポンポンを持って、たっくんの所へいったの。


あい「あい!ぎゅー♪」

あお「おかえり♪たっくん♡」

たく「ただいま」


お昼を食べた後、あいちゃんが寝ちゃったから、わたしはたっくんにこう聞いたんだ。


あお「たっくん、愛央ね、聞きたいことがあるの」

たく「なに?言ってみ」

あお「愛央、たっくんに色々させちゃって負担かけてないかなって・・・」

たく「確かに負担を感じることはあるよ。でもな、愛央がいるからその負担が行動に変わるんだよ」

あお「愛央がいるから?」

たく「愛央・・・チア部だろ?」

あお「うんまぁ・・・人見知りだけどっ」

たく「人見知りの愛央でも、俺の前だと可愛く、積極的に応援するでしょ?」

あお「愛央はたっくんに色々させちゃってるのに何も出来ないから応援してるだけで・・・」

たく「あのなぁ愛央・・・愛央の応援は、人を笑顔にするんだよ」

あお「愛央の・・・チアが?」

たく「うん。まず愛央、チアのホントの意味、分かる?」

あお「英語のcheerだよね?えーっと、元気とか、元気づけるって意味!」

たく「愛央は知らない間に、俺の事を元気づけているんだよ」

あお「あたしが?」

たく「うん。愛央って人見知りだけどものすごい可愛い子なんだよ。人見知りなのはもちろんいいけど、愛央に出来て俺にできないことが一つだけあるの、覚えてる?」

あお「他人ひと応援チア?」

たく「そ。俺は男子。んで愛央は女子。そこから、人を思いやって励ませるか励ませないかという違いが出てくる。愛央が人見知りを発動しても出来るのは、兄想いの愛央だから出来るチアリーディングだと思ってる。愛央が負担かけてるとか心配しなくていい。俺だって休む時は休むさ。な?これからも一緒だから、安心して頼って」


わたし、泣きそう。こんなに私の事理解してくれるなんて。たっくん、大好きっ!これからもよろしくね!

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