第4話 自己紹介
翌朝、愛央はかなり早く起きていた。時刻は午前4時00分、本来ならまだ寝ている時間だ。だけど今日の愛央は違った。俺に気づいた愛央は近づいてきた。
あお「たっくん、おはよっ♪」
たく「あぁ、おはよう」
あお「ツインテール作るの手伝って!」
朝の4時に起きたと思ったらそれか。愛央はツインテールを作る日だけ早く起きる。実は愛央、俺が作るツインテールが大好きで、それを作ってもらいたいがために早朝に起きるのだ。
たく「いつものごとく、飯作ってからね。待てる?」
あお「うん!待ってるね!」
愛央はその間、部屋にこもって何かをしていた。俺はいつものように洗面台で寝癖を直し、すぐに朝ごはんを作り始めた。
俺は自分の部屋にタブレットとパソコン、カメラなどがある。でも普段、朝からそれをいじることはしない。LINEはスマホに入ってるしTwitterもスマホに入れっぱ。タブレットの使い道は朝の時点では無いのだ。
朝5時30分、いつもより少し早めに朝ごはんができたタイミングで愛央が来た。あいちゃんも連れて。
あお「たっくん!ご飯できた?」
たく「うん。できたよ。おまたせしました」
あお「やった!じゃあ、ツイン作って!」
たく「いいよ。待ってね」
ツインテールを作るのには10分かかる。すこし手間をかけているからだ。とは言っても、三つ編みをするとか、編み込みをするってことはしない。俺なりのやり方で、愛央のお気に入りのツインテールを作るのだ。
5時40分に作り始めてから6分。今日に限って珍しく出来てしまったのだ。
たく「あ、できた」
あお「すごい!たっくんのツインテール簡単に出来たね!」
愛央はこう言って喜んだ。俺が何をしたのかと言うと、ツインテールの結び目をくるりんぱ×2をして、リボンで止めるって言うことをした。私立方南高校はリボンなどの装飾は派手すぎない限りOKだからだ。愛央のツインテールは、チアダンスを習っていた名残で
あお「ありがとっ!たっくん!」
たく「いえいえ。さぁ飯にすんべ」
あお「じゃああいちゃん起こしてくるね!」
愛央がこう言った次の瞬間、
あい「おぱよーねーねー!にーにー!」
なんとびっくり。あいちゃんが自分で起きて来たではないか!!
あお「あいちゃん!?」
たく「嘘!?自分で起きれたの!?凄いね!」
あい「しゅごーい!!!」
俺も愛央もびっくり。そして今日は金曜日なので父親が俺らの部屋で朝食をとる。
昭仁「おはよう。みんな」
たく「おはよう。父ちゃんやべぇよ」
昭仁「どうした?匠」
たく「あいちゃんが」
あお「自分で起きたの!」
昭仁「へぇ〜。そりゃ凄いや」
あい「あい!ぎゅー♡」
昭仁「久しぶりだなぁ。ごめんね、年度末は朝食一緒に食べれなくて」
たく「したがねぇべ?忙しかったんだし」
あお「パパ、今日から新年度?」
昭仁「そうだよ」
あお「フレ!フレ!パパ!Fooooo〜♡」
こんな会話の中でも愛央はチアを披露する。専属とはいえ、父親の応援、あいちゃんの応援も欠かさずに行う愛央はやっぱり可愛かった。
朝ごはんを食べ終え、いつものようにあいちゃんを保育園に送っていった。今日は泣かずに、むしろこういっていた。
あい「ねーねー、にーにー、あいたん待ってる!」
あお「うん!行ってくるね!」
たく「いい子にして待っててね」
あい「あい!」
ほっとした。昨日は泣いていたから、今日も大丈夫かなと不安になっていたからだ。
方南高校1年E組は40人。男子が16人に対し、女子は24人。そんなメンバーで、今日は自己紹介を行うことになった。担任の波野先生がまずは自己紹介をした。
先生「では先生が先に自己紹介をします。
クラスの拍手が止まったところで続けて、
先生「では次に、琴乃兄妹に自己紹介をしてもらいます」
俺らは緊張しながら、教壇に立った。
でも愛央は制服を着たままポンポンを持って、俺の近くに来た。
あお「フレ、フレ、わたしっ♪フレ、フレ、たっくん♡」
たく「あんがと。行くぞ」
そして俺から自己紹介をしたのだ。
たく「初めまして。琴乃匠です。横にいるのが琴乃愛央。双子の妹で、ご覧の通り、チアリーダーです。ってかなんか俺の専属チアリーダーらしい。うん。僕の趣味は乗り鉄とバス関連。いすゞのエルガミオや三菱ふそうのエアロミディが好きです。料理が得意で、愛央の朝飯は必ず俺が作っています。これからよろしくお願い致します」
俺の自己紹介は難なく終わったが愛央が自己紹介を終えるまでは席に戻れない。でも愛央は大丈夫って顔をしていた。そして愛央が自己紹介をする。
あお「初めまして!琴乃愛央って言います!チア歴7年、たっくんの専属チアリーダーです!好きな物はチアとたっくんの朝ごはん!私はたっくんの事が好きで、たっくんが明るく元気に生活して欲しいって日々願っています!よろしくね!フレー!フレー!みーんーなー!わ〜!」
拍手が鳴り止まない。愛央、みんなの前でチア披露するとかすげぇな。
40人全員の自己紹介が終わり、早速愛央の所に男子が告白してきた。
あお「愛央は男子みんなから告白されても断るよ。だって、たっくん以外興味無いもん」
愛央はこう言った。すごいキッパリと。男子達は告白しても、愛央は俺以外眼中に無いようだ。さすが、双子の妹。私立方南高校はブレザーの制服。
女子はリボン、男子はネクタイとよくある制服だ。
スカートはチェックプリーツ、フレア、チュールの3種類から選べる。大体の女子はチェックプリーツスカートを選んでいたがうちの愛央はさすが周りと差をつけ、今日はチュールスカートを選んでいた。制服代約15万円、そこらの公立高校の制服より高いのである。スカートは全種類買ってもらった愛央は日によって着回し方を変える気なのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます