第3話 愛央のチアと3人のお出かけ

昼飯は普通にハンバーグだった。だけどいつものハンバーグと何かが違う。実は今日のハンバーグの中には、チーズが何種類も入っている、いわばチーズインハンバーグだったのだ。朝飯は俺が作るが、昼と夜は執事が作る。俺らの家には執事が15人いるが、日替わりで作る夕食などは美味すぎるのだ。


あお「いただきまーす!」

たく「いただきます」

あい「いただきましゅ!」


3人で昼飯なんか久しぶりだなぁと思った。なぜなら、俺はこの時間普段なら動画を作っているからだ。


昼飯を食べ終えると、愛央が話しかけてきた。


あお「たっくん、愛央の部屋に来て!」

たく「いいけど、あじしたの?」

あお「励ましたいの。たっくんを!」


何となくここまで言われるとわかってしまうが、愛央の願いを聞き入れ、部屋に行った。


あお「じゃ~ん!」

たく「めっちゃ可愛くない!?」


部屋にいた愛央は違っていた。愛央はチアが得意なこともありポンポンを振るのが好きだったが、いつも持つはずの金色のポンポンはあじしたのかと思ってしまった。入学式後の運動会応援団コーデと赤いポンポンを持つ愛央は、どこか可愛く、そして本気の応援をするって感じだった。そして愛央はこう言った。


あお「2週間後、体力テストだから応援練習したくて、それでたっくんを呼んだの!愛央がたっくんに出来る事はチアだけかもしれないけど、出来る限り応援してあげたい!」


俺は愛央の成長を感じたかもしれない。今まではずっと緊張してご飯を食べたあとに応援なんかしなかった。でも今日は応援する。そこに成長を感じたのだ。その後愛央はこう言った。


あお「たっくんが明るく楽しく生活できますように!フレ!フレ!たっくん!フレ!フレ!たっくん!」


愛央は朝と同じようにポンポンを振って、俺を応援した。その顔は、いつもより明るかった。


そしてその午後は、3人でお出かけした。愛央の私服はノースリーブのブラウスに赤と白のボックスプリーツスカートが基本だが、デートの春服らしく、長袖の春色ニットに青いチュールスカートという、女子力抜群のコーディネートで準備をしてきた。俺はいつもと変わらずパーカーにジーンズという質素な服装だが、愛央はそんな俺に文句を言わず、むしろ甘えてきた。


あお「たっくーん、私服屋さん行きたいの」

たく「行きたければ行こうか」

あお「うん!」


愛央の甘えは基本受け入れるタイプの俺は今日も受け入れてしまった。でも愛央はトレンドや流行を気にしないタイプのはず。まぁでもいいや。


服屋から戻ってきた愛央は楽しんだようだった。そこで次に、喫茶店に行くことにした。懐中時計の針は午後3時を指していて、ちょうどおやつ時でもあったから。


愛央は小学校2年生からチアを習っていて、去年の6月にチアを辞めた。そこからは独学で応援の練習をしていた。そこで喫茶店に入った俺らは愛央に聞いてみた。


たく「愛央、なんで俺の応援やろうと思ったの?」

あお「あたし、たっくんが発達あるってお母さんから聞いた時に、決めたの。ポンポンを持って、応援した時にたっくんが明るくなる、だから色々苦労したりしてしまうかもしれないけど、愛央が応援したらたっくん笑ってくれるでしょ?だから、応援するの!」


愛央らしく、納得出来る回答だった。確かに、俺は愛央の応援で微笑んでしまう。ただ、それが愛央にとって応援する意味になっているのだという。俺は料理と鉄道でしかサポートできないが、愛央の特技が出来ない日を無くさないように、生活していきたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る