孤高の剣士クライメシアは見守りたい。~ということで私はクライメシアと一緒に成り上がりギルドライフを始めます。……ところで彼女の瞳がこんなにも優しいのはどうしてだろう?~
第9話 フェローチェ・パーティー、終わりへのカウントダウン
第9話 フェローチェ・パーティー、終わりへのカウントダウン
都市から南にある石窟のダンジョンの中で、フェローチェはこれまでにないくらいイラだっている。
「おい……新人、まだ時間かかってるのかい? トラップ解除くらいさっさとやっちゃってよまったく!」
「す、すみません! でも、かなり複雑な仕掛けで解除に時間が……」
「言い訳すんなよな! アンネリーゼより役に立つからこうやって使ってやってんのに。アイツより遅いってどういうことだよ!!」
新人の仕事にしびれを切らしたフェローチェの怒鳴り声が、うしろに控えていたメンバーたちにも響く。
アンネリーゼがいたころは、ダンジョンにしかけてあるトラップなぞものの数分で、早いときには数秒で終わらせていた。
たとえそれが未知のトラップであったとしてもだ。
「こ、これだけ複雑な仕掛けなんですよ! もっと道具が必要ですし、あっても滅茶苦茶時間がかかります! それを数分? 数秒で? 無理ッ! 不可能ッ! インポッシブル!!」
「なにがインポッシブルだ! やれって言ったらやればいいんだよ!!」
しゃがみながら作業をしていた新人に、足で砂をかけてやったフェローチェ。
それを黙認し続けるメンバー。
変に口を開けば、自分が槍玉を投げられるから。
(クソ、なんで俺がこんな目に合うんだ! あのアンネリーゼとかいう奴より使えるって誉めた矢先これかよ!)
「まったくグズグズしてたらクエストクリアが遅れるじゃないか。今日は妹との約束があるから遅刻なんてできないんだ!」
「は、はい……」
(すごく機嫌悪そうだな)
(あぁ、『カトレシア』嬢さんのことになるとすぐにしびれを切らしすからなぁ)
(なんとかできねぇのかよ)
(無理だ。ミセリアならいさめられるが、生憎遠征中だ)
メンバーはフェローチェの機嫌に戦々恐々としていた。
アンネリーゼを追い出してまだ数日しか経っていないというのに、もうこんなにもギルドパーティーの雰囲気が重くなってしまっている。
最初はこんなもんなのかと誰もが思ったが、徐々に亀裂は走っていった。
アンネリーゼの代わりとして罵られるこの新人だが、のちにこのパーティー存続に激震を走らせることになる。
(こんなところにいたら潰れちまう! でも、俺まで追い出されたら……クソ、こうなったら……お前らも道連れにしてやるからなッ!!)
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