#13 わかったよ
彼はいつもよりも真剣に私に告白した。真っ直ぐ私を見て薄っすら耳を赤らめて本気で。そんな彼は嘘をついているようには見えなかった。本気で私も考えた。
まるで嘘みたいな甘ったるい感情。私は、洗脳されるように気がついた。
永野が好きなんだな。と。
特に驚かなかった。むしろ、やっぱりと思った。私は本当に彼におかしくされた。いつだって、昔から。私を直視できずうつむく永野。不良だとは思いにくい。私は彼を見つめた。見つめて何度も息を飲んだ。カラカラに乾く喉を潤そうと何度も唾液を飲み込む。
もういいか。今回は私の負けだ。
「俺と付き合ってくれ!」
「わかったよ。」
そう言って私は笑った。泣きながら何度も笑った。気が楽になるのをはっきり感じながら私は彼の体温を体全体で受け止めていた。彼は私を抱きしめると安堵の声を漏らした。
「やっとかよ、どアホ。」
彼はそう言って暫く私をきつく抱きしめた。
私は心珠と雉田君に祝われた。皆私の思いにとっくに気がついていたようで少し恥ずかしかった。でも、一緒にいて気がついた。
私は本当に彼に愛されていて、愛していたんだと。
幼馴染みに惚れられた鹿島さんは嫌われたい!! 桐崎 春太郎 @candyfish
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