第2話 支度
準備完了。俺はスーツに着替えた。就活に備えて買っておいてよかった!
下へスーツケースを持ってくると、ドレスを着た美女がいた。
まず、目につくのはドレス。深紅の薔薇のように真っ赤なドレスはたしかに彼女にぴったりだ。そして、顔。普段も美人だが、化粧をした彼女はより一段素敵に見えた。髪は螺旋状に巻かれている。そこにはいつもの響子さんいなかった。
「どうしたんですか、これ……」
「ああ、それはねーー」
「ビックリしましたか?」
すると、ひょっこり響子さんの後ろから女性が顔を覗かせた。
「あ、神坂さん!」
「はい。ごきげんよう、奏多君」
神坂弓削さん。響子さんの監視員だ。魔導機関では、冠位所有者を見張る職員を付ける。それが彼女の仕事だ。ちなみにすぐ近くに住んでおり、時折遊びにくるのだが……。
「神坂さん!! お似合いです!」
今日の神坂さんもいつもと違った。白い、まさに純白なドレスを着飾っていた。それは雪の中に立つ鶴のように美しい。髪もいつものクルクルヘアーから、ロングにしていた。
「まるで、結婚願望の高い女のような衣装だね」
「黙れ馬鹿響子。独身ダメダメ煙草女」
「華麗なブーメランありがとう! わあ! 殴らないで! 助けて奏多くん!」
「……」
いつものように喧嘩する二人を、俺はいつも通りに止めに入った。
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