第13話 腹黒弓削さんのお茶会①

奏多「はい!そんなわけで『魔術師響子さんの事件簿 第一章』をお送りしましたが、 いかがでしょうか?楽しんで頂けたでしょうか?」


響子「・・・・・・」


奏多「ちょっと! 響子さん!起きてください!」


響子「あと、ちょっとだけ・・・・・・。二十四時間だけ・・・・・・」


奏多「それだと一日終わっちゃいますよ! いいから起きてください!」


響子「・・・・・・話が終わったなら、もういいじゃん」


奏多「駄目です」


響子「そもそも、こう言うのは作者が後書き書くものじゃないの? 知らないけど」


奏多「それもそうですが・・・・・・。無名作家がただダラダラ書いた文章なんて が読むんですか?」


響子「それもそうわね・・・・・・」


奏多「はい! そんなわけで僕たちが、本作では語れなかった部分について語るこ とができたらなと思っています!」


響子「えー。面倒くさい」


奏多「はいはい。じゃあいきますよ。まずは魔術について。この世界の魔術はどん なものなんですか?」


響子「どんなものか言われても、ぶっちゃけF〇TEのぱくりーー」


奏多「リスペクトです! リスペクト! それに、正確には型月世界観です!」


響子「私とか絶対、蒼〇〇子だしね。そのうち、直〇の魔眼とか出てきそうね」


奏多「で、話を戻します。響子さん、この世界の魔術はどういうものなんです か?」


弓削「それについては、わたくしが説明しましょう」


奏多「あ、神坂さん!」


弓削「はい! ごきげんよう奏多くん。それに響子ちゃん」


響子「あ、最後に出たモブキャラだ」


弓削「あん? 誰がモブキャラだって・・・・・・おっほん」


奏多「・・・・・・では、改めて魔術の話を」


弓削「ええ。この世界での魔術は、基本的に秘匿されている。要は隠されています わ」


奏多「そうですよね。僕も響子さんと出会うまで、魔術はファンタジーだと思って いました。ところで、どうして秘匿されているんですか?」


弓削「それはですね、魔術が使えるかどうかはその人の才能なのですわ」


奏多「才能?」


弓削「魔術はどうしてか人によってできる、できないの差があるのですわ。魔術 を使えるごく一部の者、全く使えない大勢の者といったぐわいに」


奏多「じゃあ、僕が魔術を使えるのは・・・・・・」


弓削「はい。たぶん魔術を使える才能があった、ということでしょう」


奏多「でも、それがどうして秘匿に関係があるんですか?」


弓削「それは人間の心理を思い出してもらえるとわかりやすいと思いますわ」


奏多「人間の心理?」


弓削「例えば、あなたが学生だとして、クラスに手から炎を出す人がいたらどうで しょうか?」


奏多「それは、変なやつだなと思いますけど」


弓削「そう。人間は自分と同じではないことに恐怖を抱く生き物ですわ。そして魔 術を使えるのはごくわずか。ならば・・・・・・」


奏多「迫害される、ということですか?」


弓削「はい! 大正解です。魔術を使える者は一般社会から迫害をされました。魔 女狩りなどがいい例ですね。なかには、魔術を封印し、一般社会に残ろうと 考えた人もいます。それらの人の子孫が奏多くんなのかもしれませんわ」


奏多「へー。そう思うと面白いですね」


弓削「ええ。そして、社会から隔離された者たちは独自に社会を形成しました。そ れが我々魔術師です。しかし、我々魔術師は一般社会への復帰を望みまし た」


奏多「どうしてですか? 迫害されたのに」


弓削「元々我々は一般社会の共同体の一部でしたから。ですが、それは叶わない。 では、どうするか? その結果、この一般社会の裏側で、一般社会の人のた めにこの力を使い、役立てる道を選び、活動し、今に至るわけですわ。魔術 で役に立ちたい、だけどまた迫害されるかもしれない。そんな気持ちがあるか らこそ、今日まで魔術は秘匿されているますわ。まるで、叶わない片思いを知 りながら、それでも意中の人に振り向いて欲しくてアピールしているようです わ」


奏多「なるほど。それが響子さんがよく言う、『魔術師はアニメのように戦闘した りしない』ということなんですね?」


弓削「はい。魔術師とはあくまで学者です。他の研究者と同じく、人々の生活をよ くするために存在していますわ。なので、戦闘魔術はあくまで護身用です わ。・・・・・・まあ響子ちゃんは別ですけど」


響子「だって、ちまちま研究とか面倒くさいじゃん」


奏多「ですよねー。あ、ところで戦闘のときに『炎』とか、『水』とか言っていた の何ですか?」


弓削「あれは、魔術師の属性ね、『炎』『水』『風』『地』『光』『闇』が基本的 ですわ。中には響子ちゃんみたいに、『血』なんて珍しい属性をもっている 人もいるわ」


奏多「それはどうやって決めるんですか?」


弓削「それが先ほどお話した才能ですわ。属性に関しては変えることができません の。ちなみにわたくしは、『風』。奏多くんは『光』。響子ちゃんは『炎』 『血』のダブル属性ですわ」


奏多「へえ。でも、それだと同じ属性同士だったら、個性がなくならないです か?」


弓削「そこで、属性と研究目標が大事になってきますわ」


奏多「研究目標?」


弓削「はい。先ほどお話しした通り、魔術師は人類のためを思い研究する学者です。 自分が何をして、人類に貢献するか・・・・・・。その二つを組み合わせる と真の魔術になりますわ」


奏多「真の魔術・・・・・・」


弓削「例えば、わたくしは属性が『風』、研究目標が『神』。つまりは、神を証明 し、もしくは神同等のものを作り、世界を導くための研究ですわ。これらを 研究する過程で、風により生命を操ることが可能になり、植物を自由に動か せ、魔術を自由に使えるようになりましたわ」


響子「弓削の場合、それで盾を作って防いだり、相手を薔薇で閉じ込め、毒殺する ことに使っているのよね」


弓削「ちょっと! 響子ちゃん! わたくしのイメージを下げるようなことは言わ ないで欲しいですわ」


奏多(なるほど。だから『蜘蛛の女王』なんて言われているのか)


奏多「ところで、響子さんの魔術はどんな感じなんですか?研究目標とか」


響子「ああ、そうね・・・・・・もう、忘れちゃたな」


奏多「それはどういうーー」


弓削「あら、もうこんな時間。すみませんわ、わたくしはこれで」


奏多「あ、弓削さん。貴重なお話しありがとうございます」


弓削「いえいえ。構いませんわ」


響子「じゃあね、エセお嬢様」


弓削「エセじゃねーから! おほん。で、では・・・・・・」


奏多(聞けなかったな、響子さんの研究目標)

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