悪魔のもぐもぐタイム

悪魔は人の負の感情を喰らう・・・

それを通じて人の恐れるモノ、忌み嫌うモノを知って来たのだな。


デビルスキルを用いて何かのオープニングテーマみたいに

夜の屋上に意味ありげに街を眺め、負のオーラを吸い上げる俺。

今日も街は不満で溢れてやがる。入れ食いだぜ。


例えば、嫌な事が起きそうだと感じた時に

「いつもそうだ。」と全か無かで判断してしまって

将来を捨ててしまう。人類よ。二元論で自分を追い詰める行為に気を付けろ!

選択肢と言うのは案外用意されてるもんだぜ。


「あの野郎マジでムカつく。○ねばいいのに」

本当に苛立ったのであればそんなヤツ居なくなったと思い込んで

明日を生きるが良い。憎悪の対象に執着していると

いつの間にか救いのない結末になるのだ。

手段と目的の逆転に気を付けろ!


「イヤな事ばかり思い出す」・・・

確かに過去はいつだってしがみつく。

だけどそれを言い訳にして、やりたい事を探すのを諦めるんじゃねえ。

何も出来てない時に過去のヘマを思い出すのは普通の事だぜ。

それにまつわる焦りがあるのならば、とりあえず忙しくなれ。

お掃除でも、日記を書くのでも何でも良い。夢中になれる事を見つければ

自然と濡れた毛布みたいな過去なんて捨て去れるのだ。


だが現代社会は休む事を許さない。特に心の平穏が保障されていないようだな。

生きてる間にこの世の終わりみたいに落ち込む必要ったらあんまり無いのだ。

感情の物差しで測る間もなく命は刈り取られるモノ・・・


悪態を垂れるのを辞めろ。それは自分の魂を腐らせる。

他人を憎んで呪うのを辞めろ。それは全て自分を呪ってるのと一緒だぜ。


何かのきっかけで忘れられたら良い。

風呂にでも入って美味しい飯でも食ってグッスリ寝られたなら

凄まじく悲観的なメンタルの闇も少しは晴れるって寸法だぜ。


だから俺は定期的に街単位でそういったマイナス感情を吸い込んで

もぐもぐタイムに勤しんでいる。生きてる人間達の怨念が

俺をデビルたらしめるのだ。


だけど、1分ぐらい吸いこんでるともうお腹いっぱい。

家系ラーメンの脂身の塊を食べちまったぐらい胃もたれしそうだけど

この痙攣は殺意だなとかこのフルーティーな香りは嫉妬だなって

芥子河原的なガタイで分析するけど

いつの間にか7つの大罪のフルコンプ出来ちゃいそうなぐらいの怨念食べて

悪魔的な魔力が回復していく俺。

神は試練しか与えないのに、人の心を悪魔が浄化してるとかマジ皮肉だぜ!


ところで7つの大罪って六法全書で対処できるのかな?

って関係ねー空想に浸りながらも、今日の夜の街の人々の気持ちは

少しだけ楽になったのかな?と期待する悪魔なのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る