Que sera sera
ヨミサカクリーナーズの詰所にはミリタリーな道具。決してコスプレでは無い。
嗅ぎなれてない硝煙の匂いがする・・・
いろんな所で銃撃戦してるとは言うけれど新入りの
法治国家の日本において全く見慣れない光景であった。
「かつての日本がどうだったのかは知らんが、『巻き込まれた』側には
法に助けられてる暇など無いのだ。悪魔は自力救済を推奨してる。
一般の方には都市伝説レベルの
関係ない人間を一方的に巻き込まなければ不問に伏される。
常識の範疇を維持している人間達はそれ以降の事には蓋をしているらしい。
綺麗事の蓋。中身はもちろん言わずもがな・・・世界で感じてるモヤモヤの正体。
ある日。「悪魔好みの武器をくれてやるぜ!」と言われて
今際野探偵事務所に来てみると芥子河原さんが作業場で
怪しい眼鏡みたいなのを付けて何かをバチバチと炙ったり
ガンガン叩いたりしている。
悪魔って羽根とか尻尾生えてないんだなとか思いながらも
そういうのが日常になってる悪魔探偵の今際野結さんはと言うと
「えー!? 私の中学の先輩とお友達だったんですねー!あの人
会社立ち上げてテレビに出てましたよ!」
異常な中で正常に振舞ってる人って恐ろしい。
だいぶ慣れたけど、笑顔の裏に鬼が宿っていそうな雰囲気が怖かったのが
彼女の第一印象だったかな?未だにそのイメージは抜けて無いし
間違っていないように感じる。
そっか、自分の同級生はそこそこ上手くやってるんだな。
同じ時間軸の人間と一緒に歩いていた時期に
どれだけの歩幅で進んでるのかは気になる。
だけど、結さんと自分みたいに怪異とか巨大な陰謀に巻き込まれて
もしも平凡すら望む事すら叶わなくなったら。
否、こういう事が無くても誰にだって「そこそこ上手く行く」やり方が
全く分からないまま自分なりの「普通」を生きていかなければいけないのかも。
その「普通」って言う線引きはどんな教科書にも書いていないワケで。
大病を治す為に改造人間みたいになってしまってから
生きる事とか命とか色んな概念を考えさせられた。
今、心臓が動いてるのだって当たり前では無い事。
変わらない事なんか無いし、どんな時間割、予定表を組んだとしても
この世界は明日を白紙で用意する。
要するに明日まで生きてみないといけないんだ。
「出来たぜ!オルタギアにインストールする魔術メモリーだ。」
「ささ、佐藤さん、この椅子に座って!」
「なんかこれ電気椅子っぽくないですか!?」
無茶苦茶だけど何故か今の仲間と居る時間は不条理には感じない。
「インストール開始ィ!フフフ、今は多元宇宙のブラックホール感覚だぜぇ!?」
「ヴェっさん、これでどうにかなるんですか?」
「なるようになる」
ケセラセラ。他人に無責任に押し付ける信条じゃなくて
明日が見えない自分へのおまじない。
五穀は胸の奥につっかえていた無自覚な不安が取れた様な気がしていた。
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