悪魔の六畳間
今日も今日とて今際野探偵事務所は・・・
あれ、今際野探偵事務所の朝は早いって導入じゃないの?
せっかく情熱サスティナブルなテーマ流そうと思ったのに
今日はこの前のドタバタの反動なのか色々と忙しい!
「ワハハーハハアー!」「ワハハーハハアー!」・・・
まだ修復が収まらないイザナギの作った異界の穴。
その場所は持ち主を倒して消えたものの、壁に出来た人一人分の穴に向かって
後からやってきた師宮ヴォルテ准一が奥行きを確かめる様に呼びかけ
奥深い闇はその声をリバーブさせる。
「深い!」
「深いぜ」 思いの外デカかった悪魔血清の出費で目だけブラックホールな悟。
「深いな」 傷は塞がったものの全身筋肉痛で喋りたくない綾。ソファでだらけている。
「「深いですね。」」 コメントとタイミングが一致してお互いに照れてしまう結と涼。
「要するに今回は異空間の穴を塞げばいいのであろう!?」
「頼む。そのデケー声がエコーするから
「
「お前が成敗されろ。」
布団替わりのジャケットで顔を覆いながらも綾さんったらナイスツッコミ。
今回は涼くんの力で空間に干渉して塞ぐと言ったいわゆる違法建築パート2である。
パート1でデビルPCを備え付けて魔界深層ウェブに接続して以来・・・
それに比べると物件の瑕疵を誤魔化すにはどうしたものか。
「涼くん、いつもどうやってんの?」
悪魔歴長い悟にとっても空間への干渉とか閉塞だとかそういう
人体の手術よりはるかに難しい、悪魔大学院レベル・・・
ひいては魔界合衆国の国家機密めいた内容には容易く出逢えないのだ。
「じゃあ、師宮さん。買って来たヤツを出しましょう。」
「ワンダバワンダバワンダバババ!!」
師宮が事務所の外に置いてあったモノを搬入する。
このオノマトペは必要なのか。全員が訝しんだ。
「視ろ!ホームセンターを騙して買ったドアであるぞ!」
「ドア?」
「あー、こうやってですね。」
その壁の穴をドアの面で塞ぐと涼の背中から
本来の彼が宿している悪魔の腕が生えてきて
電流火花が散って行く。さながら溶接の様に・・・
「涼クン。これは何をどうやったん・・・?」
「今回は『増築』パターンですかね。殆ど感覚でやってるんですけど
異界の穴がある場合は
現実寄りの部屋を作られるんです。」
「そろそろ3分経つぞ!行ける!」
「カップラーメンかよ」
壁際に面しているのは本来ビルの外である。今回の祟り神の干渉が
事務所全体吹き飛ぶ様な事が無くて助かったのが救いであるが・・・
「ほれ、ガチャリ!」
そのドアを開けると、昭和の風景をコピーした様な六畳間。
「よし、ここにレディオと卓袱台と、真空管テレビをぶち込みィィ!!」
「これって不動産屋さんにバレたらどうしましょうか」
「むしろ、騙しまくって不動産王にでもなるか。」
誰かが懐かしむ様な昭和の夕暮れが建てつけたドアの向こうに広がっていた
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