魂を喰らうモノ
どっかで話したかもしれないけど悪魔の心臓部分には霊核と言うコアが存在していて
それが血を循環させたり不思議なパワーをズドンパと繰り出す。
亡くなられた悪魔探偵の同業者が持っていたのは
その霊核を摘出して結晶化させた物体だったのだ。
なんで長生きしてる悪魔がそんな事知らないのかつったら
現物を見た経験が無いと言う理由に尽きる。
この状態なら魔力の触媒に使えなくもないだろうが
命がけで手に入れる程に欲していた経緯と言うのは必ずあるはずだ。
「例えば何かスゲーヤツを始末する切り札みたいなモノで?」
後藤君は大学時代に科学を研究していて普通の人間には知りえない
魔力の概念でようやらやっと説明が付く事象を論文で出そうとしたが
気がふれた様な内容だったんで世間から爪弾きされた・・・
なんかそういう過去があるらしい。
ヨミサカクリーナーズの詰所で顕微鏡とか何とか測定器みたいな
ちょっと値の張る機械で測定してみるが
それらは人間の物差しの産物。何もデータは得られない。
物事は流れとか雰囲気とかタイミングとか
それこそ神様の匙加減で意味を著しく変えてしまう。
たとえば悪魔とかを見た事が無い人間様がこんな結晶を持っていたとしたら
心霊専門家が「呪いの宝石」とか言って回って
3回見たら死ぬ絵が3回出てくる様なテレビ番組に抱き合わせで
出演なさる程度のオカルト物体だ。
「と、言うワケでこれが同業者さんの遺品だぞ。」
「これが悪魔の霊核なんですねぇ・・・」
結ちゃんには悪趣味なお土産になっちまったが
別にお仕事の中の話だ。ウチ以外にも悪魔探偵は結構いるし
それぞれ事情を抱えている。
すると、霊核の石を手に取った結の腕・・・リュウノアギトを宿した身体が
急に筋肉の弛緩と痙攣を始める。
「ん・・・うぁっ!」
彼女が手にしていた霊核が光を放ち
不随意に結の腕の魔術兵装:リュウノアギトが発現し
重厚なガントレットが腕に絡みついて
その光と魔力を握りつぶす様に押さえ込む。
それは消え失せた。と言うより取り込まれた。
「はぁ、これ一体・・・」
「リュウノアギトが食っちまったんだな。悪魔の霊核の結晶体を。」
悪魔は悪魔を喰ってもパワーアップなんぞしない。
だが、魔術兵器は悪魔の魂を喰らって強化される・・・
こういうモノを持ってたと言う事自体はあまり大した事じゃない。
しかし、例の同業者は何者かに狙われ、殺されてしまった。
するってーと何か裏があるのが世の常である。
その頃、犯人は現場に戻ってくる理論を先読みしていたヨミサカクリーナーズは
現場近くの半径200mを謎のフィールドで包囲されていた。
現実空間と違うおどろおどろしい赤黒く錆びた街に早変わりする景色・・・
「詠泉坂隊長!こりゃマズいっすよ!?」
「
「行きます!」
生き物の様に蠢くナノマシンに包まれて
オルタギア「戦鬼」に変身する。あちこちから飛び掛かってくる敵は
専用の銃を装備した詠泉坂、前野、後藤
そして戦鬼を以てして初めてイーブンに持ち込める
ギリギリの状況であった。
「うォッ!危ねぇっ!」
防刃ベストを皮一枚という所までトークンズの一体に引き裂かれる後藤。
すかさず背後に回った前野が冷静に単射式の小銃弾を的確に関節部に当て
動きを止めた所で大口を開けた敵に詠泉坂が散弾銃を押し込み
強力な3インチマグナム弾で一気に顔面を吹き飛ばす。
死んだ個体は消えてく様に霧消していった。
彼特製の高周波ブレードで怯んだ相手を
剥き出しの体内を思い切り踏みつけて撃退していく。
詠泉坂隊長の用心深い計画からフル装備で偵察しにきたのが功を奏した。
「データ出ました!」
後藤はフィールドの主の座標を導き出し、一同がその方角へと目を向ける。
すると、今まで自分達を囲んで魔獣ホイホイと化していた
非日常なホラーフィールドがあっという間に消え去り
いきなり戦いは終了してしまった・・・
「気に食わねえな、試されてたって言うのか?」
詠泉坂は昔の後味の悪さに似たモノを感じながら
散弾銃に
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