第19章:理由なきデビル
悪魔の遺留品
事務所の近くで買い物とかしてると多少職質されそう顔の
暗い顔をした悪魔ですらギャップ萌えめいたのが発生するのか
この街に入り浸ってから顔見知りが増えた。
そうすると街の情報を集めやすいし、助け合いの精神って大事だぜ!
・・・たまに自分は既に悪魔じゃないんじゃないかとか感じる俺。
今住んでる街は首都圏から少し外れた所ではあるが
いわゆる都市の霊脈の上に成り立ってる重要ポイントなんで
人知れず魔獣が地下に湧いたりだの霊障が発生しやすくなる。
夜中の心霊スポットはいつだって魂の迷子センターだぜ。
デビルスマホがデビリン♪と通知を鳴らす。
「ヴェっさん。今どこに居ますか?」
お仕事中の結ちゃんの声って少しトーンが低いから未だに緊張するのは内緒だぜ。
「駅の近くのコンビニだぞ。何か買うモノがあるか?」
「近くでヨミサカクリーナーズが『作業中』です。」
「
「いえ。事件の跡・・・と言った具合ですね。」
「証拠保全の為に涼くんを向かわせてます。合流して下さい」
この場合で言う証拠保全と言えば・・・
モノや人の過去にまつわる情報をサイコメトリー出来る
超級悪魔の能力の一部を利用した事件の記録である。
ご遺体の瞼を開いてじっと見つめる涼。
「マジで超能力なんあれ?」
掃除屋の後藤は訝し気にその非日常を観ていた。
「終わる?霊核・・・情報量が足りませんね」
情報を辿って現場に落ちていた欠片。
それは金属と水晶の中間に似た手の甲サイズの小石の様なものだった。
「で、これが被害に遭われた方の落とし物です。」
前野君ったら仕事が早い。
「ウチとは別でやってる悪魔探偵か・・・」
この悪魔探偵は使い魔とか俺みたいな悪魔を雇わずに
悪さをしてる悪魔を始末したりとっ捕まえる役割を担っているらしい。
「それで、そのブツは何なんです旦那?持ってるヤツが呪われて死ぬヤツとか?」
「魔界鉱石の一種でな・・・何つったっけ?何かこう・・・あぁ出てこないんゥ」
「じゃあ、悟さんの記憶からたどればいいんですよね?ちょっと僕の目を見て下さい」
10万33歳の悪魔と永遠の17歳少年がボーイミーツボーイな間合いで見つめ合う。
「えーと、この石は・・・そう魔界の口当たりの良いバニラ味の・・・」
「その記憶は違うと思います。もうちょっと昔に行きましょう」
強制的に想起される記憶がザッピングされ悪魔的にチャンネルを変える。
「えーと、この石は・・・ホワイトチョコに包まれた・・・」
「ちょっとチャンネルが合わないですねぇ。色々見れたんですけど」
「え!?じゃあ中学生の頃に蟹の脱皮シーンを親に隠れて観てたのも見えちゃった!?」
「見えてないですし、なんですかそれは・・・とにかく事務所まで持ち帰りますよ」
悪魔は年下の悪魔少年に弱みを握られた気分に陥った。
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