悪魔、飛んで決勝戦

「デビルファイト:ミドル級トーナメント16人制ではありましたが・・・

 2回戦進出を果たしたほとんどの者が出場不可能となりました!」


「まさか、誰かの妨害か!?」


芥子河原は流石に驚いた。


「えー・・・彼らはブルーオイスターを我慢できずに生食してしまい

 現在、戦闘不能との事です。」


昭和アニメみたいなずっこけでもしたい気分だぜ。

ブルーオイスターは人類においてバラムツと呼ばれるお魚の様に

珍味故に食べたくなる悪魔が後を絶たぬのだ。


「ところでヴェっさん。あれモノなんですか?」


「悪魔ですら3分かそこらで大噴火だ。」


「へー。私5個ぐらい食べましたけど全然お腹に来ませんよ?」


・・・この人、一回死んでるせいか色々と人外だぜ!


「それでは、巡り巡って急展開の決勝戦!」


ヤバいぜ!もう準備しないといけないぜ!


「ミドル級決勝!芥子河原ヴェンデッタ悟vs岡田ヴェノム次郎!」


作戦は・・・やはり己のプロレス哲学を貫くべきか

えげつない悪魔殺法で行くべきか・・・


「尚、決勝のルールは尺の都合上『魔界クイズ』です!」


腕っぷし関係無えええ!頭脳の方だったぁー。

よりにもよって平和なゲームだよかなり・・・


説明しよう。『魔界クイズ』とはアレだ。クイズなのである。

なんか悪魔業界にまつわるお題が出るのだな。

しかし、回答ボタンは相手の頭部に付けられる事になっており

結果として殴り合いになるのだ!


仕掛けが作動すると顎が外されそうな仰々しいヘッドギアを着けて睨めっこ。

「それでは問題!人間界からもたらされ、魔界で売れている

 大人気医薬品と言えば!?」


「オーイエ―!」岡田ヴェノム次郎の右ストレートが迫る。

速過ぎて芥子河原は眉間を打ちぬかれ、回答権を譲ってしまった。


「ボ〇ギノール!」


「正解!」


「えぇ、悪魔にもお尻の悩みってあるんですね・・・」


「俺様は歴史はちょっと苦手なんだぜ・・・」

ちょっとしたパンチドランカーの様な目眩と共に

再び芥子河原は立ち上がる。


「問題!魔界合衆国第1,290代大統領だった

 ジョージ・田島・アレハンドロが晩年最後に食したとされる・・・」


「オーイエァ―!」

芥子河原の飛び膝蹴りが岡田の顔面へと刺さり回答権を得る。


「インスタントのお徳用ワカメラーメン!」


「正解!ジョージ・田島・アレハンドロが晩年最後に食したのは

 お徳用ワカメラーメンでした!」


魔界の歴史を初めて知りながらも勝負のシュールさに

笑ってはいけない雰囲気を我慢している結ちゃんの姿があった。


「ラスト!アマゾン川流域に・・・」


「オーイエァー!」

クロスカウンター。同時にお互いの拳が頭に直撃したが回答権は・・・

お互い膝をガクガクさせて結果を伺う。


「回答権は・・・芥子河原選手!」


「ポ・・・ポロロッカ!」


「正解!アマゾン川流域に起こる逆流現象はポロロッカでしたー!

 芥子河原選手、優勝!」


歴戦の猛者が振るう打撃のダメージの中、悟に凱歌が下る。


そして一週間後の今際野探偵事務所・・・


「おい悪魔ちゃん。この山積みの段ボールは何だい?」


「聞いて驚くな綾さん。ジョージ・田島・アレハンドロ大統領最期の晩餐だ」


事務所にはインスタントお徳用ワカメラーメン1年分が送りつけられたとさ

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