悪魔のスーパーファイト

トーナメントの間に選手のダメージを回復するインターバルを設ける為に

スーパーファイト、つまりワンマッチが組まれる・・・

人間の格闘技興行もそういったものがあるだろう。


「結ちゃん、試合は良いにしたって、何で俺をここに?」


「ヴェっさんには考える前に行動する事が足りてないかなぁって思って。」


「確かに考えるばかりでストレス溜めてたかもしれないぜ・・・あぁ、そこ痛い!」


「動かないで下さいよ。今セ〇ダイン注入してるんですから」


悪魔のガタイはかなりおふざけ仕様なので木工用ボンドだの接着剤を使えば

表面の傷はある程度持ち直すのだった・・・


所変わって闘技場。


「スーパーミドル級ワンマッチ!師宮ヴォルテ准一vs稲川ファントム雄太!」


試合の映像は控え室からでも見られる。

そこには凄まじいファイト、否、地獄絵図が浮かび上がっていた!


「ウォォォォォォ!!!」


「ガァァァァァ!!!」


「凄まじい戦いが繰り広げられていますこの試合!

 二人とも魔改装甲シェディムギアを身にまとい・・・」


「ウォー!こいつァすげーデスマッチだぜー!」


観客達も大喜びで投げ銭をする。勝った側と主催者に分配される死闘!


「ヴェっさん!これは・・・」


牡蠣カキデスマッチだ!なんて恐ろしい事をォ!!キャー!」


魔界で獲れるブルーオイスター!人間が生食したら

体感しうる痛覚が胃腸に集中して灼ける様な痛みに悶えて死ぬ!

そんな苦痛と戦う己とのバトル!耐え忍んだモノが勝者となるゥ!


「オイ!お前、さっさと降参して先にトイレに行ったらどうだァ!?」


「やめろォ!剣で小突いてお腹を刺激しないでくれー!」


重厚な鎧を纏った悪魔二人が悶え苦しみ

お互いをけん制し合いながら

肉体の苦痛デバフを抱えてのデスマッチ!


「ナムサンヴァルハラヴァルハラ!!」

謎の呪文を唱える師宮。


「おーっと!師宮選手、これは一体どういう事だァー?」


「ヴェっさん!あれは・・・」


「あれは虚心ホロウマインド!漏らすか漏らさないかはさておいて

 痛覚から遠ざかり、無の境地に達する魔界武術の上級技だぜ!」


稲川ファントム雄太も技を繰り出す。


「ヴェっさん!あれは・・・」


「あれは超集中ハイパーエンデュランス

あの野郎、内臓に魔力を集中させて強化しやがった!

・・・ってこのパターン何度目だ?」


「フフフ、現実逃避で痛みから逃れようなどと、師宮とやら

 お前も俺の力の前には無意味だったな!」


「それはどうかなァ!?」


師宮が魔剣・ティルヴィングでコツンと稲川の鎧をつつくと

魔力の流れが乱れ、相手は爆発四散した。


「フフハーハハハ!悪魔は必ず勝つのだァー!」


そう言いながら師宮はトイレの個室へと駆け込み

しばらく出てこないのであった・・・



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