悪魔探偵の念写動画:映らない犯人像

結ちゃんの念写能力の精度も限界がある。

まだ文明の利器である

防犯カメラでもあれば・・・の事なワケだが

ああいうのは人間の動線を想定した代物なんで

例えばトンデモパワーを持ってしまったヤツは

猿を追いかけ回すのにそれらが使えないぐらいに面倒だって答え。


「ヴェっさん。デビルスキルか何かでここから何か手掛かりは・・・」


「初動とやらが大事なのであろう?

 掃除屋が集めた痕跡、現場の全体像。これらを鑑みるに・・・」


俺様は手先だけは器用なんだがこっちの世界の22世紀から来たとか言う

何でも出てくるどら焼きが大好きな青タヌキではないのだ。

だけどそんな感じのオノマトペと共にパッケージの中から痕跡を探す。


こうして考えてみるとニュースサイトって搾りに搾った・・・

果ては快適な部屋で汗流さず検索した記事を適当に書いて

電子の海に脳味噌投げ込んでいる人間達に痩せた考えを植え付けてるのかもな。

人類よ。イヤな事や不満を真に受けると魂に悪性腫瘍が出来るから気を付けろ!


「被害者がまず拳銃を発砲した、と言ってたな?」


「ですね。」


「回転式拳銃から出て来た薬莢は38SP。俺が喰らったら

死にはしないがそれなーりに中身とか出ちゃうんだが・・・

弾が潰れる様に変形して落ちている。防弾チョッキのレベルじゃねえ。」


「オルタギアってそういう性能があるんですか?」


確定は出来ないが、おそらく適合する者からランダムもしくは

何かの因果関係で能力がそれぞれ違うと見ていた方がいいかも知れない。

仮に魔改装甲シェディムギア派生形ヴァリアンツなのであればそれで説明が付くからだ。


「それにしても結ちゃん。念写したのを編集してみて気付いた事が無いか?」


「ん!?えーっと。」


念写したデータを繋ぎ合わせて今どき風に動画として作成出来てしまう。

ちょっと現世に転生する時代が早過ぎたら大出費だったぜ。


不鮮明な映像からでも分かる人外のパワーの圧力。

念写で映せるのはこの世に存在する筈の動物及び営造物等である。

まるでその本体は黒い影がうねる様に抵抗している男を手に掛け

モンスター映画さながらのダイナミック退店をして逃げて行っている。


「黄泉還り人間とか中級悪魔なら映るんだが、コイツは既に人間じゃない。」


「それって・・・」


「特撮モンだってそうだろ?行いで決まるモンだが要するに怪人みてえなモンだ。」



唯一の生き証人である店主を保護して特務課の人に事情を聴いたって連絡。

「何か金の話をして、そいつが黒い化け物みたいになってそれから・・・」

明らかに人外を見たのであろう。夢か現実か分からないぐらいに

目が三途の川まで泳いでやがるんで何も聞き出せない。

最も被害者なのは罪のない居あわせただけの人間に他ならねえ。

あんまり可哀想だと悪魔的に愉悦できないんだぜ。


「だけど、被害者と言うのも不法移住してる下級悪魔との詠泉坂さんからの報告です。」


「下級悪魔にも人権はあるが・・・オルタギアの持ち主さんにも事情がある様だな」


力を手に入れたら嘘を超える様な現実を手に入れられる。

それは大きく本人の往く道を狂わせる。

吉凶ってのはいつだって入り混じるから気を付けろ!

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