暗殺者の任務:巻き込まれる芥子河原

「おい」

「良いぞ!もっと食え!大きくなれないぞ!?」

「んぐっ、んむっ、おっ・・・」

「おい」


漫画の様にどんぶりが重なって行く。どんだけ食べるのか・・・

「テメエのトコで食わせとけよ!?俺の家に暗殺隊アサシンズの子

 なんか連れ込んで勝手に冷蔵庫開けるんじゃあねえ!」

そう。ここは芥子河原けしがわらの部屋。彼も巻き込まれたのだ。


「すいません!私のせいですよね?ごめんなさい・・・」


目に涙を浮かべる悪魔の少女を前にこれは罪悪感を感じてしまう。

悪魔がお客様を拒むのはデビル失礼なのではあるが

図々しくも芥子河原の冷蔵庫を我が物顔で師宮が開け放ち

勝手にクッキングして振舞っていたのだった・・・


「おかわりもあるぞ!デザートは蟹プリンだ!」


「あー!?それ高かったのに・・・この悪魔め!」


まぁ悪魔に悪魔と言っても罵倒にすらならんのだな。


身体の血色が良くなって恍惚の表情を浮かべる

土岐とか言う悪魔女子。彼女の目的とは何なんだろうか?


「とにかく、こっちに標的マトの悪魔が居るんだろ?

 まぁ師宮は職質されないぐらい狂ってる顔してるからな。」


「ありがとう!」


「褒めてねえわ」


土岐・ヴェルデューゴ・悠が課せられた任務とは・・・

「あー、実地での新人試験。ねー・・・」


暗殺隊アサシンズに入隊した新人は特例で現世へと赴き

現世に害を及ぼした悪魔を処すか魔獣、悪霊の類を狩り取って

素材を獲得する事でクリアとなる。


「本来の標的マトの悪魔ちゃんなら、天界サイドの奴らとの流血抗争で

 浄化されちまって、3年前に他界してるぞ。今頃ヘヴン状態か。可哀想に」



「えー・・・じゃあもう相手が居ない状態ですね・・・

それで、芥子河原さん?こちらの師宮さんと言うのはもしかして・・・」


「見ての通りバリバリの戦闘悪魔だ。お前ヤベー相手と戦った事あるよな?」


「何かファフニールとか言うドラゴンと1週間やり合ったな。

 あれが一番楽しかった!どうだ!?俺と刃を交え・・・」


「お前みたいなガチ勢を当てたら負けて不合格だろうが・・・すまぬな。

 手頃な仕事があればいいのだがお前も大胆なヤツだ」


「想ったよりこっちへの転送が遅れてしまって、お腹が減ってたんで

 短期決戦で行こうと思ったんです・・・」


手順をスキップするとこういう危険な目に遭うのだ・・・

芥子河原は食料を食い潰された現実を見ると虚しくなるから

とりあえず色々と話を聞いてやったり彼女のスキルの確認だ。

最近、涼クンが仕入れてくれたデビルタブレットをポチッとな。


戦闘スキルは新人にしては平均以上。ふむふむ。

あらー。ご家庭を支える為に健気な子やぁ・・・


「しかし、こう言ったらアレだが、貴様には現世で任務をやる上で

 重大な欠陥がある!」


「えぇ!?なんでしょうか!?」


「マントの下が中学校のジャージとか、ちょっと締まらないとは思わぬか!?

 しかも鬼龍中学校キリュチュー?俺様のザリガニ標本を盗んだガキ共を思い出すわ!母校だからボコボコに出来ねえし!(プンスカ」


「あぁ!?出発する時に着替えるの忘れてたんですゥ!後、

 同じ中学だった人が泥棒しちゃってごめんなさい!」


「えぇい、暗殺者らしく、こうスーツを仕立ててだな。

 悪魔は悪魔の風情、ファッションにはうるさいのだ!」


「俺もうるさいぞ!ファッショオオオオオオオン!」


「テメエはちいと黙ってろや!」


悪魔の衣類は俺様のモーフィング能力で如何様いかようにも変容させられるので

ファッションサイトを参考にしながらボディタッチ控えめの採寸を行い

彼女の服を仕立ててやるぜ!

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