別位相のマーケット

現世来た時に金に困って売ったり、現世に迷い込んだ魔獣狩りの任務で撃ったり

まぁ、現代兵器でも十分そいつらは相手できるのだが地獄製の銃弾が尽きる。

元々は俺だけがヤバい時用に使うんで数人で使うとあっという間に無くなるのだ。


主に射撃が飯より好きな元警察官の結ちゃんと

剣士の癖にスタイリッシュに銃をブッパなさる綾さん・・・

女性陣はストレス社会において怒りを薬室に込めて発射してるのだな。


現代日本では銃器の単純所持・・・発射可能なブツを持ち歩いてると

海外よりも厳しく罰せられると言うが

魔獣が湧いてるこの世界ではそいつら関連に対してはメディアが動かず

いくら薬莢をバラ撒いても足が付かないと言うのが現状であった。

そう言った事が明るみになっても今は嘘と真実が入り混じって

ネットの情報を鵜呑みにして信用する様なヤツは頭が悪いとか言われちまう。

そういう虚実入り交じるご時世において

甚大な被害が出る前に監視者様からオーダーが届く時に

俺達が悪魔探偵業とは名ばかりの害獣駆除をしていたりもする。

同業者がこの世で食いっぱぐれない様に我先に受けて立つから

戦闘しか出来ない人種の奴らが死んで地縛霊にならないことを祈るばかりだ。


「今度、東京アーミーから新型のSR-mod18が出るんですよねー。欲しいなあ」


「結ちゃんのミリタリー好きは趣味だったのね・・・」


「まぁ警察で拳銃持ってる時に使うと書類仕事がヤバいんですよね。」


何度か結ちゃんのお部屋にお邪魔した綾さん曰く

某筋肉コンバット映画顔負けの武器庫みたいになってて

男の夢みたいなエアガンの宝庫になってると言うぜ。

少年に性別は無い。良いね?


「映画の武器調達シーンって何か燃えますよね」


「あぁ、散弾銃のポンプアクションとか何か・・・いいよね」


こういう時はデビルスマホから涼くんへ依頼する。

位相を転移してデビルマーケットに直接入り込んで

品定めをしてもらうのだ。彼もいつの間にかやり手の営業マンだ。

超級悪魔ともなると成長も早いモノで・・・



彼はアスタロトとしての能力に目覚めて超感覚から商才を身に着け

安くてイイモノを探しに異空間へダイブしてくれるのだ。

スキルの無い悪魔や人間は転送装置を使わなければならないが

肉体に超級悪魔を馴染ませた彼はコンビニに行く感覚で

空間に穴を開けてデビルマーケットに潜入出来るといった

何気にとんでもない事をやってのけてるのだ。



喧騒渦巻く煤けた別位相のストリート。現世において此岸にあらず。

ここに居るのはヒトの形をした悪魔ばかりであるが

それも風体の違う超級悪魔のお通りとなると静まり返り

なるべくその少年に関わらない様に、時間が流れていく。

捻じ曲げた空間の先はさながら中東の砂漠地帯の様な市場。

魔界と人間界の境目が曖昧な継ぎ目にあるその位相へ出向いて

直接腹を割って交渉すれば確実だし秘匿性が高くなるのだった。


「通常弾・・・9×19mmパラベラム弾と5.56mmの円錐台形弾グリーンチップを。こちら注文書で・・・」


「今だったら3割増しで無限軌道弾ホーミングアモ!魔弾の射手になれるライフルとかあるよ?」


「検討しておきます。・・・いつもお世話様です」


「お、おう。毎度あり」



ちょっと前まで右も左も分からない少年であった涼は

一人前の悪魔として・・・と言うより悪魔に選ばれた者として

振舞わなければならなかった。

不思議とこういった一般的とは言えないライフスタイル・・・

かつて隔離されてた生活の反動のせいか

自分で考えて自由に出来る環境に満足していた。


それと並行して、自らが悪魔の器にされてしまった時の出来事。

その時の事件現場に居合わせた警官時代の今際野結の欠落した記憶と刷り合わせて

悪魔をとりまく利権争い・・・ひょっとしたら世界のバランスを書き換える者。

知らない方が幸せなのか?知るべき宿命なのか?

悪魔探偵の一員として秘かに情報を足で稼ぐのであった・・・

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