悪魔の摘発:超級悪魔のカラテ

ひさびさに超級悪魔アスタロトの器である神代涼くんの登場である。

彼の意思が悪魔に飲み込まれて暴走しない限りは

とりあえず保留と言ったところが善後策だ。


能力である超感覚を頼りに事件の予感を嗅ぎつける。


「ダイエット食品の工場でしょ?私も欲しいかなぁ。」


「綾は筋肉寄りだから要らぬであろう!?」


「だからぁ、そういうのを落としたいんだってば」


「近いんですから、音量下げてください・・・」


綾と准一の武闘派コンビで荒事を担当し

涼が肝心のブツを探し当てる。近づくとなんか耳鳴りがして

モヤモヤするらしい。


「動くなー!金を出せー!」


「それじゃ強盗だろ馬鹿!こっちが悪者みたいじゃねーか!」


ところがあちらさんもカタギでは無い。

下級悪魔が工場を改造して良からぬキノコを

癌に効くだのダイエットに良いだの謳って

健康被害を広めているのは今際野探偵事務所の裏付けで

明らかになってる事だ。


「なんだテメエら!やっちまえ!」


人間に化けていたそれが魔界に居た頃の姿に戻り

悪魔の異形と化す。


「もっと言い訳してくれた方がイラついてやり甲斐があるのによ・・・」


縮地法のフットワークで得物を持った敵の手首を薙ぎ払い

壁を縦横無尽に駆け回りながら狩猟動物の様に初手から急所を突き

妹から譲り受けた刀の二刀流で薙ぎ払う。

芹沢綾の戦闘力は上がっていた。


「この、ガキィっ!」


「涼っ!後ろだっ!」


涼は芥子河原から教わった格闘の鉄則・・・

攻撃する時に硬直しない。水の様になる事だけを意識していた。

そこにあるもの・・・背後の敵の悪意。


鉄パイプで殴打されるところをすんでのところで交わし

悪魔化した事によって強化された肉体から放たれる強烈な左踵落とし。

防ごうとした鉄パイプごとへしおられた下級悪魔の一匹の頭に振り下ろされ

血を吹きだして重体の様子だ。下級悪魔はちょっと強い人間程度なので

中級悪魔の様に霊核の破壊とかややこしい呪いなど要らないのだ。


結果、大立ち回り。アブソリュート空手を習得していた涼は

肘、拳。膝。と全身の打撃で突き刺す様に暴れ回り

ほとんど無傷で、素手だけで降りかかる火の粉を払って見せた。


「んじゃ、ブツを回収して監視者さんに通報しとくかぁ。」


「軽い仕事だったな!」


「涼クンが片付けてたろ。お前何もしてないに等しいぞ。」


「いやぁ、そんな・・・」


その時、綾は涼の身体が不自然に膨らんでいた筋肉が脈打って

元の身体に収まる様子を目撃した。

戦いぶりを見るよりもゾッとする悪魔の片鱗を感じ取った気分になる。


「コレだろ!?体に悪いキノコと言うのは!悪魔は毒物が好きだからな!」


そういって乾燥した謎のキノコをボリボリ食べた准一であったが・・・


「えーっと、何があったんです?」

ところ変わって探偵事務所。戻って来た准一の様子が目に見えておかしい。

テンションが逆方向に落ちている。


「うん。宇宙ってさ。それですらまだ小さな砂粒なんだよ。あはは・・・」

なんだったら喋り口調も違う別人と化しているが・・・


「そのキノコを毎日食わせとけ。師宮しのみやは調子乗ると手が付けられんからな。」


芥子河原けしがわらは師宮に少なからず損させられた過去があるせいか

彼に対しては厳しかったのだった・・・

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