悪魔のエンカウント:宗教の人

今日こそは悪魔にとってムフフな快楽と蟹より貪りたい怠惰の休日。

セッティングが大事だ。地獄の映画「恐怖!魔界のシャコvs巨大ミミズ」を見ながら

エビ煎餅をつまみにビールでも飲んで・・・あぁ、この時の為に生きている。

それにしても日本と言うのは寒暖差の激しい国だと聞いていたが

全く必要な衣類の嵩張る国である。

ただでさえ商店街でゆるキャラ営業する時の海老シュウマイの着ぐるみとか

いずれデスメタルの帝王になる時用の鎧とかゴロゴロ転がってるんで

ミニマリストな同居人が居たら片っ端から断捨離ゲッサムされちまうぜ。


すると呼び鈴。デビル感性が働くこの匂いとも感触とも言えない感覚は・・・!

優しそうな宗教の淑女の方が聖書を片手に微笑んでおられる。


「今、お幸せですか?」


「あっ、今から幸せになろうとしてた所でっす」


俺様は普通の人間に対しては人見知りなのだ。


「今はお悩みとかありますか?」


「おっす。・・・おっす・・・」


悪魔の悩みとか言ってもいいのかな?

「まぁ、あるには、ありまっす。」


「神様を信じればそういったモノから救ってくださいます。」


人間から見たサタンがそうであるように

悪魔から見た神は最も出会いたくない存在なのだ。


まさか、大学時代に専攻してた心理学がここで邪魔をするとはな。

俺は人間としてこの世界に生きていて

神の恩恵を授かっている?もしも人間界に行ったらそういう前提で

世を忍ぶ仮の姿を演じなければならないのだな。


とりあえず、この迷える子羊に解放感を与えてやろう。


「ところで、日本と言う国では無宗教と言う概念があるんだぜ?

 まぁ、神様は居るに越したことは無いなーとは思うのだが・・・」


「あらあら、そうですよねー。」


「それで、無神論者の定義する神と一神教の定義する神って微妙に違うのだ。

 それを知った上で説法があるのなら、また後日来るが良い」


「はぁー・・・知りませんでしたぁー。まだ勉強不足でしたぁー・・・」


「それと秩序を重んじるが故に助け合いの精神が生まれるのだ。

 安息の日に物を訪ねる時は早めに要件だけ述べよ。」


勧誘の方は立ち去って行った。神に中指を立てると

本当に天から裁きを受けてしまう事もあるから社交スキルだけは大事である。

とか言ってる間に巨大シャコの脱皮シーン・・・俺様の性の目覚めだったあの

とんでもなくドスケベなベストモーメントが終わってしまっていた。

こういう時のやるせない感じってシャコ・・・癪だよね。


ところが後日、その宗教の勧誘のオバちゃんが神について一層勉強して来たらしく

またもや俺様の家のインターホンにダイナミック入店。

神に仇なす悪魔と宗教のオバちゃんの宗教論で俺様の休日は奪われていく事となる。


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