悪魔の忘れ傘:本当だらけの世界

俺様こと芥子河原ヴェ―ンデッタゥ悟は現在中級悪魔に甘んじているが

かつては準上級悪魔だったりした事もある。

お笑いの匂いを嗅ぎつけたのなら笑っておくが良い。

後はいつもの悪魔トークだぜ。

ランクが下がったと言うより、一線を退いたと言った方が正しいのかもしれぬが

有り余る魔力で戦闘の真っ只中に飛び込んでバッタバッタとなぎ倒し

力こそが全てみたいな時期があったんだぜ。


だが、天界の使者と異次元で戦闘した際に

正義を振りかざすあいつらの虚しさ。悲しい支えの元で

「頑張れば報われる」みたいな受け身のプライドを垣間見た時に

敵ながら同情してしまったのだな。


俺が一時期、魔改装甲シェディムギアを封印して

魔界深層技術業デビルアビスエンジニアに転職したのも

光と影に終わりがないのなら、自分が楽しく生きる方を選びたかったから。

なんかそんな動機だった気がする。


立場や所属、思想が違うから争いごとが起こる。

そりゃ自分が正しいと思っていたいだろう?

その間に話せば分かる相手にまで刃を振るい

いつの間にか思想の捩じれで認知の歪みが発生した

ロボットみたいになっちまうのは本当に悲しい事だ。

学習のプロセスで人間は色んな感情を知るがそれが呪いになったりする。


人間界は大きい戦争が起こってないがこの傾向が顕著だぜ。

なんせ、他人の言う事を情報処理するのはエネルギーをかなり使う。

だから言葉の波長、語気で通じ合えるかどうかを即座に判断して

大人になればそれに頭を使うかどうかを推しはかる。

歳を取ってワガママになるご老体はそれが我慢ならんのだな。

俺様は10万33歳だが自分が言った事を

「あれ、変な意味で捉えられてないかな?」と神経質になるお年頃だ。


本来この世界に100%の概念は無い。100%正しい事も無い。

人類よ。物事を過度に決めつける行為に気を付けろ!

相手が間違っててムカつくからブン殴りたい。

そういう気持ちに駆られる事が多いだろうが

死んでほしいぐらい憎い相手でも本当に死なれたら

多分虚しいと思うぜ。それまで憎んでた時間が無駄になるだけだからな。


気付いてる奴も居るかもしれないが所詮見せかけの平和を享受してるに過ぎない。

いずれ個人の間で争ったり、巻き込まれたりもするだろう。

そうでなくてもインターネットを開けばムカつくニュースだらけだ。

そしてイライラする為にインターネットやってる悲しい奴らが

言葉を選ばずにSNSで誰かを攻撃する。もはや是非も無い。


しかし、何度も言っているが誰かを憎んでる時ってのは

自分を肯定できないでいるストレスが混ざっているのだな。

それが出来ていれば他人がどこで何していようと

全く関係ないと言うのに、世の中が悪いと言う言い訳に挿げ変えて

物事を面倒にしやがる。人類よ。己の怒りを人のせいにするな!

生きる上での主人公はお前自身だが

ゲームと違って取り返しがつかないのが現世の掟なのだ。


確かに普通に喋ってると思ったら急に怒り出す上司とか居るかもしれないが

そういう人は自分に自信が無いか他人の事はどうでも良いと思って

ビビらせた相手の労働力の上前を撥ねようとするだけの小悪党に過ぎない。


魔界に居た頃よりも人間界の方がすっきりしない事だらけだぜ。

人類よ。言葉にならない概念に気を付けろ!

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