違法少女:Fatal Fate

監視者から珍しく人探しの依頼。それもかなり高額だ。


「羽佐間製薬の廃墟に潜む『藍』を探し出せ」・・・

探すと言うのは今行方知れずと言う所だろうか?


「そいつなら知ってるよ。」

デビルPCの大画面に映った画像に綾さんは心当たりがある様で・・・


「でしたら、皆で捜してみましょう。」


「ダメだ。」


珍しく結ちゃんの発言を遮る・・・

こういうのってのは大体本人の過去絡みと言って差し支えない。


羽佐間製薬と言えば、生物学の分野にも研究を入れているんで

ひょっとしたら涼くんの出自も分かるかもしれないかと思われていたが

どうやら違法少女絡みの様だ。空気が重苦しいぜ。


「って、悪ィな。実を言うとだな・・・」


どうやら羽佐間製薬は秘かに自らの財力で魔力を媒体とした

テクノロジーを研究するべく優秀なエンジニア達を確保して

オーバーテクノロジーの結晶・・・綾さんが戦う時に装備する

防刃、対魔力防御を誇るオシャレな戦闘服や武器の製造など

多岐にわたって魔法少女の経済的援助

悪魔との戦闘をサポートをしていたらしい。


しかし、その研究者たちは10年以上前に殺された。

魔法少女の不条理を説き、違法少女となった者が仕組んだ事件。

芹沢綾にとってはそれこそが復讐の相手の様だ。


「つまり、どういう事ですかね?」


「しょうがねえ・・・」

綾さんときたら魔法少女とは言い難い

魔術兵装の日本刀とデビルストレージから買い叩いてくれてた

拳銃。そして大量の弾薬・・・


「悪魔ちゃん。」


「何よ?」


「私、これから死ぬ様に見えるか?」


「答えの為なら死ねるって顔してるぞ?」


人は生きてるかどうか確かめる為に死地に身体を投げ込む。

悪魔だってそうだ。死にかけてる時ほど生きてると実感できる時は無い。

違法少女の暗躍する世界で罪悪感に苛まれてるこの子には

死なないまでも答えに辿り着く必要があるだろう。


「綾さん。私達はあなたを・・・」


俺は結ちゃんの言葉をハンドサインで遮る。


「お前が行くべきトコまでは案内する。

 だけどその先は望み通り自分で切り開け。」


「ヴェっさん・・・!?」


「悪魔ちゃんは優しいなぁ・・・何か、ここで喧嘩別れすると思ってたのに。」


「人は諦めたらそこで死ぬんだ。お前はまだ生きてるからな。」


「私なんて一回死んでる様なもんさ。結ちゃんもそうらしいけど。」


人には事情がある。自分に必死になってる時にしか

本当に生きてるとは言えないのだ。すると、デビルPCに情報が入る。


「ここに見覚えあるか?」


「・・・だ・・・」


綾さんの表情は因縁の相手を頭に思い浮かべる苦い顔をしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る